[CAF]戦略と計画テンプレートを使ってみる ~戦略編~ ②

はじめに

この記事では架空のシナリオを用いて戦略と計画テンプレートを使ってみた結果を記載しています。今回は前回の続きとして[2-2.ビジネスの妥当性]から記載していきます。

  • 動機、推進要因
  • ビジネス成果
  • ビジネスの妥当性
  • 最初に採用するプロジェクト
  • 重要なステークホルダー

前回の記事は以下をご確認ください。
[CAF]戦略と計画テンプレートを使ってみる ~戦略編~ ①

ビジネスの妥当性

テンプレートでは次のように記載されています。

成功をどのように測定しますか? ビジネス成果を達成するだけでなく、組織内で Azure の導入を成功させるための指標は他にありますか。Azureを採用するためのビジネス ケースを作成し、このプランをサポートする財務モデルを作成することを検討してください。

テンプレートにはビジネスケースの作成と財務モデルの作成が指示されています。しかしどのようにそれを行うかどいった方法についての記載はないため、追加の情報を得るために公式ドキュメントのリンクを確認してみます。

ビジネスケースとは一般的にはプロジェクトを開始する説明を記載した事業計画と呼ばれます。公式ドキュメントでは”ビジネス ケースの開発には、技術的な考慮事項を考慮してビジネスの成果に合わせた財務計画を作成することが含まれます。”と述べた上で、オンプレミスのコストとAzureのコストを予測・比較してAzureの利点を評価できると記載されています。

ビジネスケースの主要なコンポーネントからクラウド導入が妥当であると判断するための材料を考えてみると、以下が思い浮かびます。

  • 現在オンプレミスで運用しているシステムのコスト
    ー固定資産の費用
    ー当時導入に要した費用
    ー5年間の運用費用
  • Azureのコスト
    ー5年間のAzure利用料金
    ー5年間のAzure運用コスト
    ーAzureの導入コスト


オンプレミスのコストを正確に算出するのはかなり難しそうです・・・。Azureの利用料を計算してみて高い!と言われた際、もし一見オンプレミス側が安く見えるのであれば何か隠れたコストがあるはずなので、そういったものを考える際のヒントにしていただければと思います。

Azure利用コストについて、今回は Azure Virtual Desktop へのリプレースとなりますので弊社のAzure Virtual Desktop 料金計算ツールで大まかな見積が可能です。ただし要件や利用状況によって金額に大きく差が出てくるため、正確な金額の算出ができるタイミングは戦略の次のフェーズである計画になると思います。
運用コストについても戦略時点では内容がはっきりしないため、計画にて考えられるようになるでしょう。

Azureの導入コストは弊社が提供するAzure Virtual Desktop PoC サービスを参考にしてみてください。ただしこれも計画フェーズにて作業内容がはっきりしないと算出し辛いと思います。

ここまで考えると、このビジネスの妥当性で考えられることはザックリとしたAzure利用料がオンプレミスと比較した際に妥当であるかの参考情報までとなりそうです。実際には計画フェーズで具体的に内容が固まった後に改めてこの妥当性評価を行うのが必要になると考えられます。

最初に採用するプロジェクト

テンプレートでは次のように記載されています。

最初の導入プロジェクトは、クラウド導入の背後にある動機に合致する必要があります。可能な限り、最初のプロジェクトは、定義されたビジネス成果に向けた進捗状況を示す必要があります。

過去のCAFの戦略記事(少なくとも2021年2月時点)ではこの「最初に採用するプロジェクト」について掲載されていたのですが、2021年7月現在では記載がなくなっていました。いずれテンプレートが更新され無くなってしまうかもしれません。

「最初に採用するプロジェクト」という表現ですが、大規模環境における移行が想定されている場合に使われる表現のようです。複数のワークロードで構成されているシステムの場合にはまずどのワークロードから移行するか?といった考えが必要になります。今回の事例はオンプレミス仮想環境の移行のため、単一ワークロードを想定していますので、最初に採用するプトジェクトについてはあまり考える必要がないかもしれません。
※ワークロードについてはポートフォリオ階層について併せてご確認ください。

とはいうもののこの移行が最初に採用するプロジェクトであることには変わりないため、検討を進めて行きます。

まず動機について考えます。今回のシナリオではオンプレミス仮想化環境のリプレース先としてAzure Virtual Desktopを検討することにしました。動機には合致しております。

次にビジネス成果について考えます。前回の記事で定義したビジネス成果は、1.パフォーマンスの向上 2.運用負荷の軽減 3.コストの削減 の3つでした。 1.パフォーマンスの向上 と 2.運用負荷の軽減 についてはいずれもAVD導入により成果が達成できることが見込まれますが、実際に触れて初めて分かることもあるためまずは短期間のPoCを実施して確証を得るのが良いと考えます。 3.コストの削減 ですがどうしてもパフォーマンスの向上とトレードオフの関係にあります。許容できる範囲のパフォーマンスとコストのバランスを見極める必要がありますので、こちらもPoCの実施が必要になると考えられます。

Azure Virtual Desktopの導入という軸はブレませんが、最初に採用するプロジェクトと考えると本展開の前にPoCのプロジェクトを採用することが良いと考えられます。

重要なステークホルダー

テンプレートでは次のように記載されています。

この導入計画の成功に参加することが重要な組織内の個人は誰ですか?ここにすべての主要な個人を収集し、次の表でクラウド戦略チームの一員になるべき人物をマークします。クラウド戦略チームは、組織内でクラウドの導入をリードし、このプラン内で特定されたすべてのビジネス成果、人とプロセスの変更、および技術プロジェクトをサポートします。

ステークホルダーを記載する表の項目は次のようになっています。

  • 名前
  • 部署/役職
  • ビジネス成果に責任を持つかどうか(Y/N)
  • クラウド戦略チームのメンバーであるかどうか(Y/N)

前回の記事でビジネス成果に対応するステークホルダーの分類を定義しておりましたが、そこからさらに個人レベルで人物をピックアップしていくことになります。
前回は利用者、運用担当、財務担当と記載していました。利用者であれば利用者全体に対して、パフォーマンス向上という成果とそれを達成するまでの進捗について説明する責任がある人物が該当すると考えられます。利用者の数が多い場合には各部などから利用者の代表を募る必要もありそうです。

運用担当であれば運用負荷の軽減を成果にしているため、現状の運用業務を理解できている人物が必要となります。

財務担当はコスト削減を成果としているため、現在の環境にかかっているコストの全体を把握している人物が必要となります。ただし考慮事項が多いため多くの人物への協力が必要になる可能性があります。固定資産、データセンターの契約、通信、運用、メンテナンスなどの要素が考えられるため運用業務を担当している人物との連携してコストに反映する要素を洗い出したのちに担当している人物を特定する作業が必要になると考えられます。

終わりに

テンプレートと言いつつも、実態としては指示に従って内容を埋めていけば戦略が定義できるといったものではありませんでした。テンプレートには検討が必要なテーマはかかれていますが、自分でCAFの知識を得て多くの検討と調整を行って初めて戦略を定義することができるようになります。

戦略の定義は大変な作業にはなりますが、しっかり対応することで今後プロジェクトを進めて行く際に関係者からの協力を得やすくなるという効果があります。動機や目的・目標が分からないとどうしてもクラウド導入に対して否定的であったりためらいが生じてスムーズにプロジェクトが進まなくなってしまう恐れがあります。
もしもクラウド導入の機会があれば、是非テンプレートを活用してみてはいかがでしょうか。

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