FSLogixを使ったプロファイル格納先のパフォーマンスの違いを検証してみる

この記事は更新から24ヶ月以上経過しているため、最新の情報を別途確認することを推奨いたします。

追記:2021/3/26
FSLogixの保存先としてStorage AccountのBlobを採用することはできる限り避けてください。Blob Storageの処理性能がボトルネックとなり、FSLogixが正常に動作しない場合がございます。

概要

WVDのプロファイル管理はFSLogixで実装することが標準的な構成ですが、プロファイルデータの格納先としては以下の候補があります。

・ファイルサーバ(仮想マシン)

・BLOBストレージ

・Azure NetApp Files(ANF)

・Azure Files

候補となる格納先のストレージはプロトコル、可用性、コストに違いがあり、利用するユーザー数や容量、設置環境などを考慮した上で選定します。

Azure Files は、オンプレ AD による権限設定が可能 (Preview) になったため、新たな選択肢となり得ます。今回は候補のストレージパフォーマンスを検証し、候補を比較してみたいと思います。

一般的にクラウド環境はパフォーマンスとコストは比例するので、コストをかければパフォーマンスは向上します。(もちろん、正しい設計・設定をすることが前提です)

それでも、検証は必要ですので、今回のパフォーマンス検証がWVDを導入いただく際の参考になればと思います。

検証環境条件

・想定するユーザー数:100人程度

・東日本リージョンに設置

・ActiveDirectory環境:Azureに配置(Azure AD Domain ServiceでもOK)

・1人あたりのプロファイル容量:10GB

※ユーザー数が限定的な小規模環境(100名以下)を想定しているため、大規模環境を想定するANFは対象外とします。

検証構成

検証内容

 ・WVDクライアントアプリを起動し、サインインできるまでの時間を測定する

 ・プロファイル領域に100MB程度のテキストファイルを配置し、開き終わるまでの時間を測定する

 ・複数サインインによる一時的な負荷(ログインストーム)は今回実施しない(本当は一番必要な検証なんですが。。。)

リソース仕様

WVDセッションホスト

Standard D4s v3 (4 vcpu 数、16 GiB メモリ)/東日本リージョン

ファイルサーバ(IaaS)/SMB

Standard D2s v3 (2 vcpu 数、8 GiB メモリ) +管理ディスク(PremiumSSD)(管理ディスクにプロファイルを保管)/東日本リージョン

BLOBストレージ/Azure Files

Standard/Hot/LRS/StorageV2/東日本リージョン

Azure Files + ドメイン認証はプレビュー中の機能です。以下を参考にしてみてください。

AD連携でAzure Filesを利用する

https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/storage/files/storage-files-identity-auth-active-directory-enable

Azure AD Domain ServiceでAzure Filesを利用する

https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/storage/files/storage-files-identity-auth-active-directory-domain-service-enable

FSLogix設定

 ・グループポリシーで以下を設定

  参考:Windows Virtual Desktop における FSLogix の基本的な設定

FSLogixの有効化

ファイルサーバ/Azure FIlesでのGPO設定(profile container)

BlobのGPO設定(Cloud Cache)

検証方法

・サインアウト/サインインにかかる時間を測定する(3回繰り返す)

※ストレージについては、仮想ネットワークでサービスエンドポイントを設定

・実務的な環境に近づけるため、プロファイル領域(例:デスクトップ)に10MBファイル×5、100MBファイル×5、1GBファイル×5を作成する

検証結果

測定結果は以下のとおりです。

候補サインインサインアウト
ファイルサーバ(IaaS)/SMB17.5秒5.5秒
BLOBストレージ22.5秒7.1秒
Azure Files  16.1秒5.2秒

考察

 劇的な差異は無いものの、Azure Filesが比較的良好な結果となりました。本番環境に向けては、Azure Filesはプレビュー版なので現状導入するには推奨はされませんが、検討、設計、導入のリードタイムを考えるとAzure Filesが妥当な選択となる可能性は高いです。(WVD ARM版の選択についても同様です)

今回対象外としましたが、ANFはパフォーマンスでは最上位であり、ログインストームが発生しやすい利用用途やそもそもユーザ数が多い場合はANFをベースに検討いただくことを推奨します。

コスト、信頼性等、選択するには他の非機能要件も検討が必要ですので、お悩みの際は是非当社までご相談いただければと思います。

ご参考

Azure ストレージの使い分けと導入上のポイントは?

Windows Virtual Desktop における FSLogix の最適なプロファイルの保存先【コスト重視】

ADを使ったAzure Filesの設定方法

Fslogixのグループポリシーについて

明確な資料は公開されていませんが、コンピュータのレジストリ設定の資料が公開されているので、読み替えることが可能です。

Title : Profile Container registry configuration reference

https://docs.microsoft.com/en-us/fslogix/profile-container-configuration-reference

Title : Office Container registry configuration reference

https://docs.microsoft.com/en-us/fslogix/office-container-configuration-reference

Title : Cloud Cache registry configuration reference

https://docs.microsoft.com/en-us/fslogix/cloud-cache-configuration-reference

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