この記事は更新から24ヶ月以上経過しているため、最新の情報を別途確認することを推奨いたします。
はじめに
この記事ではクラウド導入に取り掛かる初期段階のチーム構成について記載していきます。初期段階とはクラウド導入に本格的に導入にするにあたって検討中の段階を想定しています。
戦略フェーズについてはこちらの記事を参照してください。
Cloud Adoption Framework 戦略の概要
[CAF]戦略と計画テンプレートを使ってみる ~戦略編~ ①
[CAF] ビジネス成果について
CAFにおけるチームの熟成について
CAFでは熟成度が最も高いチーム構成はCCoE(cloud center of excellence)であると記載されておりこれが目標とされています。いきなりCCoEを目指すことは難しいため、まずは ”クラウド導入チーム” と呼ばれる小規模なチームでスタートして徐々に規模を拡大させていく熟成方法を取ります。
ただしクラウド導入チームのみで運用を続けることは非推奨となっており、推奨されるのはもう1段階規模を拡張したベストプラクティスとなっておりますのでご注意ください。
チームの熟成についての詳細はこちらをご参照ください。
クラウド導入チームとは
CAFではクラウド導入の初期段階において構成する小規模なチームのことを ”クラウド導入チーム” と呼んでいます。チームに規模によりクラウド導入においてそのチームが担う職務(やること)が異なっており、CAFでは “RACI(実行責任、説明責任、助言、通知)” と “クラウド機能” のマトリックスである ”RACIマトリックス” で表現されています。RACIとクラウドの機能についての説明は後述しますが、一旦クラウド導入チームのRACIマトリックスを記載します。
なお、初期導入にで必要になる機能はクラウド戦略、クラウド導入、クラウドガバナンスです。
機能 | クラウド戦略 | クラウド導入 | クラウド運用 | クラウドガバナンス | クラウドプラットフォーム | クラウド自動化 |
RACI | 説明責任 | 説明責任 | 説明責任 | 説明責任 | 説明責任 | 説明責任 |
※CAF公式ドキュメントでは小規模なクラウド導入チームのみの構成ではすべての機能に対して説明責任のみとなっていました。これではクラウド導入が進まないのでは・・・と思いますが、初期段階においてはとりあえず説明のみできればよいということでしょうか。なおチームが大規模になるほど責任は明確になっていました。
RACIについて
RACIは曖昧になりがちな責任を明確にするためのものです。”実行責任、説明責任、助言、通知”という構成要素からなっています。後述の”クラウド機能”に対して要素を割り当てることで、どのチームが何に対して責任を負うのかを明確にできます。
各要素についてはこちらのCAF公式ドキュメントから抜粋して記載します。
・1 つの機能に対して “説明責任” を負う 1 つのチーム。
・ 結果に対して “実行責任” を負う任意のチーム。
・ 計画中に “助言” を求められる必要のあるチーム。
・ 作業が完了したときに “通知” を受ける必要のあるチーム。
クラウド機能について
初期段階で必要となる機能、クラウド戦略・クラウド導入・クラウドガバナンスについて記載します。
機能 | 職務 | 人員選定の条件 |
クラウド戦略 | ・ビジネス成果を含むクラウド導入の定義 ・ビジネス上のステークホルダーの調整 | クラウド導入を企画、推進する立場にある人。 公式ドキュメントには多くの場合CEO と CIOが割り当てると記載あり。 |
クラウド導入 | ・デジタル資産の合理化 ・移行バックログの管理、実行 ・最初のワークロードの移行 ※技術的なタスク以外にビジネス的なタスクにも応じつ必要がある | プロジェクトを推進する立場にある人、タスクを実行する人。 |
クラウドガバナンス | ・計画によって発生するビジネス リスクを把握 ・リスクに対するビジネスの許容度の明確化 ・ガバナンス MVP の作成支援 ※参考:Cloud Adoption Framework ガバナンスの概要 | ビジネスリスク許容度を評価する立場にある人。 クラウド戦略に携わる人が選定する。 |
まとめ
クラウド導入チームは最低1名~6名ほどの人数となります。クラウド機能に記載した職務ができる人を選出してチームを構成する必要があります。クラウド導入プロジェクトのマネージャー含むメンバーと考えると分かりやすいと思います。
CAFではクラウドを導入するにあたって増分型アプローチが推奨されていますので、まずは小規模なチームから初めて最初のワークロードを移行し、その後クラウド導入の規模拡大に伴ってチームの規模も拡大し熟成させていく方法が推奨されています。
初期のメンバー選定時の参考になれば幸いです。