はじめに
このガイドでは、Azure Virtual Machine(VM)を使ってデータのバックアップと復元を行う方法を詳しく解説します。前提条件として、既にデプロイされているVMが1台とストレージアカウントが1つ必要です。このガイドは、Azureの基本的な操作を学びたい初心者や、AZ-900やAZ-104などの試験対策をしている方にも役立つ内容となっています。万が一のトラブルに備えて、定期的にバックアップを取ることで、データの損失を防ぐことができます。
バックアップと復元は、以下のようなシチュエーションで重要になります。
- システム障害: ハードウェアやソフトウェアの障害により、VMが正常に動作しなくなった場合。
- データの誤削除: 重要なデータを誤って削除してしまった場合。
- サイバー攻撃: ランサムウェアなどの攻撃により、データが暗号化されたり破壊された場合。
万が一のトラブルに備えて、定期的にバックアップを取ることで、データの損失を防ぐことができます。
注意: このガイドでは、基本的な設定手順を中心に説明しています。細かい任意の設定については説明していませんので、必要に応じて公式ドキュメントを参照してください。
1.Azure Backupの概要
Azure Backupは、Azureのクラウド環境でデータを安全にバックアップするためのサービスです。
以下のような特徴があります:
- 自動バックアップ: スケジュールを設定して自動的にバックアップを実行できます。
- データの復元: 必要なときに簡単にデータを復元できます。
- コスト効率: 必要な分だけのストレージを使用するため、コストを抑えられます。
2.バックアップの復元の手順
2-1.バックアップの設定手順
まず、Azureポータルでバックアップを設定します。
①Recovery Servicesコンテナーの作成:
- Azureポータルにログインし、上側の検索バーから「Recovery Services コンテナー」を検索し、選択します。
- 「追加」をクリックします。
-
「リソースグループ」ドロップダウンから、VMと同じリソースグループを選択します(例:VM1_tesut)。
- 「資格情報コンテナー名」に任意の名前を入力します。(例:test1)。
- 「リージョン」ドロップダウンから、VMと同じリージョンを選択します(例:Japan East)。
- 「確認および作成」をクリックし、設定内容を確認した後、「作成」をクリックします。
補足: リソースグループやリージョンをVMと同じにすることで、管理が簡単になり、パフォーマンスの最適化にもつながります。
②バックアップポリシーの設定:
- 作成したRecovery Servicesコンテナーを選択し、左側のメニューから「バックアップポリシー」をクリックします。
- 「追加」をクリックし、新しいバックアップポリシーを作成します。
- 「ポリシーのサブタイプ」を要件に合わせて選択します。(例:Standard)
- 「ポリシー名」に任意の名前を入力します。(例:test1policy)
- 「バックアップスケジュール」は任意の設定をします。
- 設定内容を確認した後、「作成」をクリックします。
③VMのバックアップの有効化:
- 作成したRecovery Servicesコンテナーを選択し、左側のメニューから「バックアップアイテム」をクリックします。
- 「Azure Virtual Machine」を選択し、「追加」をクリックします。
- バックアップ対象のVMを選択し、「バックアップ」をクリックします。
- 作成したバックアップポリシーを選択します。
- 「仮想マシン」から追加を選択し、VMを選択します。
- 設定内容を確認した後、「バックアップの有効化」をクリックします。
2-2.バックアップの実行手順
設定が完了したら、バックアップを実行します。
①手動バックアップの実行:
- Recovery Servicesコンテナーの「バックアップアイテム」タブで、バックアップ対象のVMを選択します。
- 右クリックを「今すぐバックアップ」をクリックし、バックアップを開始します。
②バックアップの進行状況の確認:
- バックアップの進行状況は、Recovery Servicesコンテナーの「バックアップジョブ」タブで確認できます。
2-3.VMデータの復元手順
バックアップからデータを復元する方法を説明します。
①復元の開始:
- Recovery Servicesコンテナーの「バックアップアイテム」タブで、復元したいVMを選択し、右クリックから「VMの復元」をクリックします。
- 「復元ポイント」から作成したバックアップを選択します。
- 「復元」をクリックし、オプションを選択します。
②復元オプションの選択:
- 「復元対象」を「既存を置換」を選択します。
- 「ストレージの場所」ドロップダウンから、既存のストレージアカウントを選択します。
- 設定内容を確認した後、「復元」をクリックします。
3.コストについて
Azure VMのバックアップと復元には以下のコストがかかります:
Azure Backup サービス使用料:
Azure Backup の料金は、以下の 2 つの要素に基づいて計算されます。
- 保護されたインスタンスの数:VM 1 台ごとに課金されます。料金は VM のサイズによって変動します。
- バックアップデータのストレージ料金:バックアップデータは Recovery Services コンテナー内に保存され、ストレージの利用量に応じて課金されます。
データ転送のコスト:
- リージョンをまたいでバックアップデータを復元する場合は、Azure の データ転送料金(アウトバウンド転送)が発生します。
- Azure 外部(オンプレミスや他のクラウド)への転送でも料金が発生します。
補足:同一リージョン内での VM → Recovery Services コンテナー へのデータ転送、およびコンテナー → VM への復元は 無料。また、Geo 冗長ストレージ (GRS) のリージョン間レプリケーションも Azure Backup の料金に含まれ、追加の転送コストは発生しません。
まとめ
Azure VMのバックアップと復元は、データ保護の基本です。Azure Backupを利用することで、簡単かつ効率的にバックアップと復元を行うことができます。復元を実行すると、指定した復元ポイントからVMが復元され、再び使用できるようになります。定期的なバックアップと復元の検証を行い、万が一のトラブルに備えましょう。