はじめに
この記事ではFinOpsにおける組織内の各利害関係者である”ペルソナ”の解説、また、各ペルソナがAzureにおいては具体的にどう関わるかの例も交えて紹介していきます。
FinOps技術部門だけでなく多くの部門が関わる施策です。取り組むチームは勿論のこと、FinOpsチームだけでなく、クラウドの利用に関わる全ての関係者が協力して行うものであり、だからこそ各個人が他者のミッションと自身のミッションの違いを理解することが重要です。
なお、FinOpsの過去の記事を基に基礎や関連知識を理解したい方は以下記事をご参照ください。
・AzureにおけるFinOpsへの取り組み【2023年版】
・FinOps 成熟度モデル(Maturity Model)を理解する
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コアペルソナ、関連ペルソナ
FinOpsのペルソナにはコアペルソナ、関連ペルソナ(正確にはAllied Persona)が存在します。
コアペルソナはFinOpsの実践において必要不可欠な存在であり、それぞれに果たすべきミッションがあります。各役割での内容は重複している部分もありますが基本的に分かれています。
関連ペルソナはFinOpsの実践には直接関与しませんが、セキュリティや資産管理部門の組織等、FinOpsで取り扱う技術要素を管理している部門が多いです。関連ペルソナとの調整はコアペルソナの役割の一つ、「FinOps プラクティショナー」が担います。
この記事では一旦コアペルソナのみ紹介します。
各ペルソナの役割
FinOps プラクティショナー
FinOpsを進めるうえで、中核となる存在です。FinOpsプラクティショナーはFinOpsフレームワークの実践的な知識を有し、技術部門と財務や経営層の橋渡し的な存在となります。
上記でも記載した通り、関連ペルソナとコアペルソナの間の調整もこのFinOpsプラクティショナーが行います。
Azureを使っている場合、CostManagementの利用方法や設定について熟知するだけでなく、IaaS、PaaS、SaaS等各種リソースがどのような課金モデルとなっているか、またコスト最適化のためにはどういった設定変更を行い、それによって動作や現場へどのような影響があるか、更にはAzureにおける請求の形式やリザーブドインスタンス等の特殊な課金モデルを理解しておく必要があります。
リーダーシップ
リーダーシップはFinOpsのプロジェクトを牽引する存在です。ミッションはクラウドコストの可視化と最適化をリードし、複数部門にまたがるチームを統合し、持続可能な財務戦略を策定します。
Azureを使っている場合、技術的な部分の把握はそこまで重要ではありませんが、経営につながる部分としてどのようなリソースがどの程度存在しているか、コストと品質のトレードオフの基本を把握しておくと良いでしょう。
プロダクト
プロダクトはFinOpsツールやプラットフォームの開発と改善を通じて、クラウドコストの可視化、分析、最適化を実現することがミッションです。FinOpsメンバーのニーズを理解し、効果的なツールを提供して、組織全体の財務パフォーマンスを向上させます。
Azureにおいては技術的な知見を広く深く有している必要があります。Cost Managementの操作は勿論、PolicyやAutomation、Function、LogicAppsを用いてコスト削減を実現できるツールの用意や、アプリケーション開発時でのコスト削減ノウハウを蓄積し、FinOpsの効果を最大化させられると良いでしょう。
エンジニアリング
エンジニアリングのミッションは、クラウドインフラの設計、構築、管理を通じ、最適なコストパフォーマンスを提供することです。自動化とスケーラビリティを追求し、リソースの最適な利用を実現し、FinOpsによる効果を最大化します。
Azureにおいてはプロダクトと並び技術的な知見を有している必要があります。Cost Management、各種リソースの課金モデルの理解、更にオートスケールやコンテナ等、構成面でのコスト関連ノウハウが必要です。プロダクトに比べインフラ面での知見が必要となり、クラウドをお使いの企業であれば最もコスト削減余地が大きい技術領域でもあるため、エンジニアリングの技術力がコスト削減効果に直結すると言っても過言ではありません。
ファイナンス(財務)
ファイナンスは財務に関する専門知識を提供し、FinOpsプラクティショナーと連携して、クラウドの費用及び費用データを管理・調整し、クラウドコストを正確に予測、予算化し、チャージバックまたはショーバックを行い、FinOpsにおける財務面での目標実現を目指します。
AzureにおいてはCostManagementの操作が、特にコスト内訳の確認方法や、予測、アラートの設定・操作方法までができると自身のミッションを技術部門に頼らずに実現できるかもしれません。また、技術的な話ではないですが、クラウド特有の従量課金、翌月請求、リザーブドインスタンスと言ったクセのある費用構造についても把握しておくと良いでしょう。
調達
ここは企業の中でも明確な役割があるか微妙なところですが、端的に言うとクラウドサービスの契約、クラウドリソースの購入を行うポジションです。調達のミッションはクラウドサービスの契約及びクラウドベンダー及び販売代理店との関係最適化し、FinOpsプラクティショナーと協力してコストを最小限に抑えることです。ベンダーとの関係を管理し、組織のニーズに合ったサービスを選定し、費用対効果の高いソリューションを提供することが必要とされ、AzureにおいてはAzureの契約やサブスクリプションにおける請求管理、更にリザーブドインスタンスの購入やキャンセルに関わるルールなども把握しておくと良いでしょう。
おわりに
FinOpsは技術部門だけで進められないため、各部門で連携する必要がありますが、各部門のミッションをそのまま持ってくるだけだとプロジェクトは必ず瓦解します。各部門で培ったプロフェッショナルを基に、FinOpsのペルソナを当てはめて、そのミッションを実現することでFinOpsは成功に近づくでしょう。
なお、この情報はFinOps Certified Practitioner試験でも頻出の領域でもありますので、試験を受けられる方は必ずチェックするようにしましょう。
詳細は以下FinOps FoundationのWebサイトにも掲載されていますので是非こちらもご確認ください。
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