ITストラテジスト 合格体験記

 

 

・はじめに

本記事は、ITストラテジスト合格を目指している方、応用情報取得後に高度試験の受験を考えている方に対して、ITストラテジスト試験の内容や私が行った勉強方法を伝えることで、合格への一助となることを期待して作成しました。

 

・筆者について

筆者は新卒未経験で入社をし、クラウドを用いたシステム開発を行う部署に配属されました。現在Azureでの業務経験は1年ほどになります。学生時代に基本情報と応用情報を取得しています。

 

・受験の動機

免除期間が終わるまでに何かしらの高度試験に合格したかったからです。

免除期間とは、応用情報、あるいはいずれかの高度試験に合格すると、合格日から2年間、高度試験の一部が免除されるというものです。免除期間で対象の試験に合格した場合は、有効期間が更新されます。試験概要を見た時に最も興味を惹かれたのがITストラテジスト試験だったので、受験を決意しました。

 

・試験について

ITストラテジスト試験の内容+所感について説明します。試験は午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの4つあります。免除期間内であれば、午前Ⅰをスキップできます。各試験について更に詳細を説明します。

 

午前Ⅰ

応用情報の範囲での選択問題(4択)が出題されます。25*14点で100点満点です。

合格ラインは60点で、これは午前Ⅱ、午後Ⅰも同様です。そもそも高度試験を目指している方は応用情報に合格されていると思いますが、個人的には応用情報を取得してからITストラテジストをはじめとした高度試験を受験することを強くお勧めします。なぜなら、午前Ⅰをスキップできた場合、集合時間が遅くなる(午後Ⅱの開始時間までに集合)からです。会場は必ず近場になるわけではないため、場合によっては朝5時起き…ということも有り得ます。ITストラテジストに限らず、高度試験は1日拘束されるため、睡眠時間や出発時間にも余裕を持ちたいです。また高度試験は、応用情報の特定の分野に関するより発展的な試験、という位置づけなので、順番的にも応用情報合格→高度試験受験が安定ルートだと思います。

 

午前Ⅱ

ITストラテジストの範囲での選択問題(4)が出題されます。25*14点で100点満点です。単純な知識問題なので特に記載することもないですが、筆者の年度の試験は新規の問題が多く苦戦しました。新規の問題は時事を反映した問題が多いため(AI制作物の著作権など)、新聞やニュースをチェックするとよいかもしれないです。

 

午後Ⅰ

完全に国語のセンター試験(:共通一次試験)です。現代文の記述問題…といったところです。どちらかというと、問題そのものよりも答えを導く過程の中でITストラテジストとしての思考、発想があるかどうかを問われているような気がしました。例えば、ITストラテジストはITを用いて経営戦略を実現するため、いくら正しくても非ITのソリューションはNGです。人手不足という問題がある状態で「人を雇えばいい」と解答しても×です。人手不足の原因をITで解決する、ITにより人手不足という状態自体を解消する、経営目標として利益成長率が定められている場合はITを用いた新サービスにより利益を生み出す(=ことで人手不足により利益成長が見込めないという問題を解消できる。コスト的には現事業とシナジーがあるとよいですね。)等、問題に対してどのようなITを用いたソリューションを提案するか、を常に念頭において解いていきたいです。

 

午後Ⅱ

これが最大の難関です。今までの試験とは大きく異なる点が3点あります。

1点目は論述形式の試験であることです。つまり、選択式の記号問題や記述試験ではなく、2時間で最低2000文字を原稿用紙に書く必要が有ります。

 

2点目は問われる内容の違いです。午後Ⅰまでは知識や思考を問う問題でしたが、この午後Ⅱでは受験者の経験を問われます。例えば、「ITを用いて既存事業を改革した経験について論述せよ」みたいな感じです。これはちょっとざっくりしてますが、事業環境や事業背景、内容とその根拠、経営層への提案方法やフィードバックといった内容を2000文字以上でまとめます。書いて欲しい内容については小問で分けられていて、「事業環境や事業背景を600文字以上で書け」といった形で指定されます。ちなみに指定文字数を下回ったらほぼ一発OUTなので絶対に死守してください。

 

3点目は採点基準です。午後Ⅰまでは6割以上が合格基準、ということでしたが、午後ⅡはA~D4段階評価で、Aのみが合格です。

 

このように午前Ⅰ~午後Ⅰと午後Ⅱでは問われる内容が大きく異なるため、学習のポイントとしては(当たり前のことかもしれませんが)個別の対策が必要になることが挙げられます。以下で説明をします。

 

 

午前Ⅰ~午後Ⅰと午後Ⅱで使用した教材とそれを用いた学習方法を記載します。

 

午前Ⅰ~午後Ⅰ

・学習に使用した教材/学習方法

インプット/アウトプット共に以下の教材を使用しました。

 

All IN ONE パーフェクトマスター ITストラテジスト

 

正直この1冊だけでokです。後は適当にニュースや新聞で気になるニュースをピックアップしておきます。午後Ⅱが重すぎるため、午前Ⅰ~午後Ⅰの学習の比重を落とせばよかった、というのが筆者の後悔です。前述の通り、午前Ⅰ~午後Ⅰで問われるのは知識と思考力のため、何も考えなくても、は言い過ぎかもしれませんが、応用情報を合格している方であればまず問題ないかと思います。応用情報の勉強方法と同じでokです。

 

午後Ⅱ

・学習に使用した教材

 

合格論文の書き方・事例集 ITストラテジスト

 

個人的にこれがなかったら100%落ちてました。内容もそうですが、tipsが非常に役立ちました。例えば、「内容を後から追記したい時、<を使って余白部分に書き込んでも問題なく採点される」等です。これを知らなければ、それまでの内容を全部消して内容を追記し、消した内容をずらして書き直す…ということになっていました(学習中何度リアルコピー&ペーストがしたいと思ったか数えられません)。このようなtipsが多くあり、本教材の冒頭にも書いてありますが、「試験の1日前、どころか10分前に買っても効果を発揮することができ」ます。

 

・学習方法

さて、最も重要な箇所だと思いますし、実際に「どのように進めていくのが効果的か」を常に考えて勉強していました。結論の前に、午後Ⅱを攻略する上で生じた問題についてまとめます。

 

1.時間が足りない

時間が足りません。汚く書けば足りますが、採点するのは人間ですから、読めなかったらOUTです。書く内容をその場で決めていたら120%間に合いません。

 

2.内容が書けない

まず、筆者は(学習当時)新卒1年目です。経営層への説明とかしたことあるわけないですし、企業の戦略策定等は新卒が行える業務ではありません。つまり、経験では書けない、という問題です。

 

3.何を書いたらいいか分からない

1.2をクリアしても、そもそも全く的外れな内容ならば判定:Aは有り得ません。時間と経験があってもそれをどのようにアウトプットすればよいか分かりませんでした。

 

 

1.2から、「書く内容は事前に決める。設問に合わせて書きやすいテーマを選べるように複数パターン決めておく」「内容は事例集を参照する(つまりパクる)」という方針が立ちました。そして3ですが、ここで結論を述べます。3の解決方法=午後Ⅱの学習方法です。

 

 

合格論文を読みまくり、共通点を抜き出す

 

 

合格するには、採点者に合格に値する論文であると判断させる必要があります。逆に言えば採点者が合格だと思えば合格なのですが、何となくいい、何となく悪いでは試験が成り立ちません。つまり、採点者は何かしらの基準を以て採点しており、その基準を満たしていればどんなテーマであっても合格になるはずです。そして抜き出す内容についてですが、事実だけを抜き出すのはお勧めしません。私も最初はなるべく企業の状況や立場、解決方法を合格論文に寄せて論文を作っていましたが、取り回しが悪いというか、少しでも設問の内容が変わるとテーマ自体が全く使えなくなってしまいました。本番ではどのような設問が用意されているか当然分かりませんから、これでは困ります。そこで書き手の考え方、思考の部分を重視して読み込んでいくと、設問が変わってもテーマさえ決まれば自力で論文が書けるようになっていました。上記の教材には設問パターン別に合格論文が纏められているため、繰り返しになりますが非常にお勧めです。

 

 

・まとめ

いかがだったでしょうか。ここまで読んでいただいて最後にこんなこと言うのもあれですが、少しこの試験受けるの早かったかな、と感じています。いますぐ業務で必要になるわけではないですし、経験を積んだうえで適切なアウトプットを出す方が健全な気がしています。新卒や2~3年目で高度試験を目指す方は、自身の業務領域に近い分野を扱っている試験を受験した方が良いと思っています。筆者も反省を活かし、現在はネットワークスペシャリストの勉強をしています。免除期間中には何とか合格したいです…。非常に長くなってしましましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

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