はじめに
Windows Server 2016 の延長サポートは 2027年1月に終了します。Microsoft も後継バージョンへのアップグレードや移行を推奨しており、期限を越えると通常のセキュリティ更新を受けられなくなります。
移行先にはさまざまな選択肢がありますが、いま選択肢として自然なのが Azure です。クラウドは既に多くの企業で一般化しており、サーバ更改のタイミングでオンプレミス中心の構成を見直す動きも珍しくありません。この記事では、オンプレミスのネットワークを持つ企業が、Azure 上にネットワークを作り、サーバを構築し、接続・移行・切替まで進める際の大まかなタスクを整理してご紹介します。
タイムラインの確認
まず押さえたいのは、Windows Server 2016 の延長サポート終了日です。Microsoft の案内では 2027年1月12日に終了し、同時期から ESU が始まる予定です。
ただし、ESU があるから急がなくてよい、とは考えない方が安全です。2026年2月時点の Microsoft の案内では、Windows Server 2016 向け ESU は最大3年購入可能とされる一方、価格や提供条件の詳細は数か月以内に案内予定という段階でした。つまり、内容や費用が固まる前提で計画を立てるのはリスクがあります。延命策として期待しすぎず、移行を本線として準備するのが現実的です。
またESUは年数がたつほど高額になる可能性があるため、移行準備をしておけば、ESUの購入期間も短くて済む、ということもあります。
(2026/3/31追記)
ESUについてはオンプレミス・Azureどちらも同額で有償提供となる旨がリリースされました。
詳しい記事はこちら
Windows Server 2016 ESUはAzure上でも有償となる方針がリリース!これによる影響と対応は?
移行の大まかな流れ
Azure 移行は、思いつきでサーバを立てれば終わる作業ではありません。設計、契約、クラウド側構築、オンプレミス側対応、データ移行、切替まで、段階的に進める必要があります。
要件確認・設計・予算確認
最初に行うのは、Azure で何を実現したいかを整理し、サーバ構成とネットワーク構成を設計することです。最初から理想的なクラウドネイティブ構成を目指しすぎるより、まずは現在のオンプレミス構成を Azure 上に延長するイメージで考える方が進めやすいでしょう。
特にネットワークは重要です。Azure の仮想ネットワークとオンプレミス側を接続する前提なら、アドレス帯やセグメントが重ならないように設計しなければなりません。Microsoft も、オンプレミス側サブネットと Azure 側サブネットの重複は避けるよう案内しています。あわせて、仮想マシン、ストレージ、VPN Gateway などを含めた概算費用も、この段階で見積もっておきたいところです。
Azure契約
設計と概算が見えたら、Azure 利用に向けた社内承認と契約手続きに進みます。ここでは「全面的なクラウド移行」と説明するより、「まずはオンプレミスのネットワークを Azure に拡張する」と整理した方が通しやすいでしょう。
Azure は各種認証や高いセキュリティ基準を備えたサービス群で構成されており、以前よりもクラウド利用への心理的なハードルは下がっています。とはいえ、稟議には費用・目的・リスク整理が必要です。設計内容と予算試算をセットで持っていくことが大切です。
Azure上でのNW・サーバ構築
契約後は、まず Azure 側だけでネットワークとサーバを構築します。具体的には、仮想ネットワーク、サブネット、必要に応じた NSG、仮想マシン、ストレージなどを用意し、オンプレミスとまだ接続しない状態で単体確認を進めます。
Azure の基本的な構築作業はポータルから進められるため、初めて触れる方はブラウザ中心で完結する手軽さに驚くかもしれません。一方で、手軽に見えて設計ミスがそのまま本番影響に直結しやすいため、作業のしやすさと設計の難しさは別物と捉えるべきです。
オンプレミス側とのNW接続
Azure 側の準備ができたら、オンプレミス側ネットワークとの接続に進みます。一般的には、Azure VPN Gateway を使った Site-to-Site VPN で接続する流れになります。Microsoft も、オンプレミス環境と Azure 仮想ネットワークの接続手順として、この構成を案内しています。
既存ルーターの対応確認は必要ですが、主要メーカー製品で接続できるケースは多くあります。ここで見落としがちなのが、VPN 用の固定グローバル IP の準備です。機器設定の前に、回線とアドレス条件を確認しておかないと、後ろ倒しになりやすい工程です。
データ移行
サーバを立ててネットワークをつないだだけでは移行は完了しません。業務データの移行や同期が必要なら、このタイミングで進めます。一般的には回線帯域や停止可能時間を見ながら、複数回に分けてバッチ的に転送することが多いでしょう。
データ量が多い場合は、ネットワーク経由だけにこだわる必要はありません。Azure Import/Export では、ディスクを使って Azure Blob Storage や Azure Files へデータを持ち込む方法が提供されています。大量データでは、こうした物理搬送型の選択肢も検討対象になります。
切替
最後は本番切替です。オンプレミスの既存サーバを停止、またはネットワーク的に切り離し、切り戻し可能な状態を残しながら Azure 側へ利用を寄せていきます。
理想は、一定期間の並行稼働や段階切替ができることです。いきなり全面停止で入れ替えるより、影響範囲を絞って確認しながら進める方が安全です。これはどの作業でも言えますが、切替そのものより、切替前のテスト計画と切戻し手順の整備が成否を分けます。
移行までの想定所要期間
もちろん規模やシステム特性によって差はありますが、たとえばサーバ20台規模で Azure 移行を進める場合、ざっくりした目安は次のようになります。
| フェーズ | 期間の目安 |
|---|---|
| 要件確認・設計・予算確認 | 1〜2か月 |
| Azure 契約 | 1か月 |
| Azure 上のネットワーク・サーバ構築 | 2〜3か月 |
| オンプレミス側ネットワーク構築 | 1〜2か月 |
| データ移行 | 1か月 |
| 切替 | 1か月 |
| 合計 | 7〜10か月程度 |
ここで問題になるのが、期限までの残り時間です。Windows Server 2016 の延長サポート終了は 2027年1月です。2026年3月時点では、もう十分な余裕があるとは言いにくいタイミングです。
しかも、自社だけで Azure の設計、ネットワーク接続、移行方式の検討、データ移行、切替計画まで学びながら進めると、実際にはさらに時間が延びやすくなります。期限に間に合わせるには、どこまで内製し、どこから外部の力を借りるかを早い段階で決めることが重要です。
移行のポイント
この移行は、単に OS の期限対応を急げばよい話ではありません。オンプレミス環境を Azure に拡張する以上、セキュリティ設計も必要ですし、設定ミスやユーザー影響も避けなければなりません。加えて、移行後の監視や運用も見据える必要があります。つまり大事なのは、スピードだけでなく、正確さとコストのバランスです。
そう考えると、外部ベンダーと連携するのは選択肢として持つべきです。特に残り期間が限られているなら、「調べながら自社で進める」より、「経験のあるパートナーと最短で進める」方が現実的と言えます。パーソルでは Windows Server 2016 EOS に合わせた移行ソリューションをご用意しています。
無料アセスメントや移行支援実績をもとに、現状整理から設計、構築、切替まで一貫して支援できます。まずは自社環境で何から着手すべきか、ぜひお気軽にご相談ください。
終わりに
何も対応しないまま期限を迎えると、セキュリティ事故や運用上の不安につながります。今はクラウドベンダーも成熟し、単純なNW構築であればスムーズにできるケースも多いと思います。残り時間を踏まえ、無理のない計画を立てたうえで、早めに移行準備を進めていきましょう。

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