概要
Azure上の仮想マシン(VM)を別のサブスクリプションやテナントに移行したい場合、Azure Storage Explorerを使うことで、GUIベースで簡単にディスクを複製・転送できます。
本記事では、Azure Storage Explorerを利用してVMのディスクを移行し、移行先で新しいVMを構築するまでの手順をご説明いたします。
PowerShellなどのスクリプトを使わずに、GUIだけで移行を行いたい方にお勧めの方法です。
手順
1. Azure Storage Explorerをインストールする
まず、Microsoft公式サイトからAzure Storage Explorerをダウンロードしてインストールします。
Windows/macOS/Linuxのいずれにも対応しています。

1-1. ダウンロードしたインストーラーを起動し、画面の指示に従ってインストールを完了します。
1-2. インストール後にアプリを起動し、Azureアカウントでサインインします。

2. Azure Storage Explorerで対象のサブスクリプションに接続
移行元・移行先それぞれのサブスクリプションに接続します。
2-1. 左ペインの「アカウント管理」(人型アイコン)をクリック(※①)
2-2. 「アカウント管理」画面で、「移行元サブスクリプション」「移行先サブスクリプション」にチェックを入れる(※②)
➤フィルター処理が有効になっている場合は、対象テナントの横の歯車マーク>「フィルター解除」をクリックするとサブスクリプションが表示されます(※③)
2-3. 対象サブスクリプションにチェックを入れた後、「エクスプローラーを開く」をクリック(※④)

3.移行対象VMの割り当てを解除(停止)
ディスク移行を行うため、Azureポータルで対象VMを停止します。
※VM が割り当て解除(停止)状態でない場合は、ディスク移行が出来ません。

4.移行対象VMのディスク名を確認する
Azureポータルで移行元VMのディスク情報を確認します。
4-1. 対象VMの「ディスク」メニューを開く
4-2. OSディスクの名前を控えておく

5.(任意)ディスクコピーを作成する
VMの停止時間を短くしたい場合は、スナップショットから転送用のディスクを事前に作成しておきましょう。
5-1.スナップショットの作成
- Azureポータルで「ディスク」→対象ディスクを開く
- 上部の[スナップショットの作成]をクリック

3. 各項目を設定し、作成

➤スナップショット作成後は、元VMの起動が可能になります。
5-2.マネージドディスクの作成
- 5-1で作成したスナップショットを開き、上部メニューの[ディスクの作成]をクリック

2. 各項目を設定し、作成

6.Azure Storage Explorerでディスクを複製
ここがメインの操作になります。Storage Explorerを使って、ディスクを別サブスクリプションにコピーします。
※移行元・移行先サブスクリプションの両方で、Microsoft.Computeリソースプロバイダーを事前に登録しておく必要があります。
移行元サブスクリプションでの操作
6-1. 左ペインから[移行元サブスクリプション]→[ディスク]を開く
6-2. 移行対象VM(もしくは手順5で作成した転送用ディスク)が属するリソースグループを展開する
6-3. コピーしたいディスクをクリックして選択し、上部メニューの[コピー]をクリック

移行先サブスクリプションでの操作
6-4. 左ペインから[移行先サブスクリプション]→[ディスク]を開く
6-5. VMを作成したいリソースグループを展開する
6-6. 上部メニューの[貼り付け]をクリック

6-7. [ディスクの貼り付け]ウインドウでディスク名や各パラメーターを指定して、貼り付け

6-8. 画面下部に進捗パーセントが表示されるので、完了されるまで待つ

➤正常に完了した場合

7.複製したOSディスクからVMを作成する
移行先サブスクリプションで、コピーしたディスクをOSディスクとして新しいVMを作成します。
7-1. Azureポータルで[ディスク]を開き、複製したディスクを選択

7-2. 上部メニューから[VMの作成]をクリック

7-3. 各項目を設定し、作成
※ネットワーク構成(VNet・NSGなど)は自動では引き継がれません。手動で設定する必要があります。

7-4. 作成が完了したら、新しいVMが移行先で起動します
終わりに
以上、Azure Storage Explorerを利用したVM移行の手順を解説しました。
GUIベースで直感的に操作できるため、スクリプト不要で確実にディスクをコピーできます。
この方法は、サブスクリプションやテナントをまたぐケースでも有効ですが、ネットワーク構成やマネージドIDなどは自動で移行されません。
環境の再構築を含めた全体設計を意識し、安定した移行運用に役立てていただければと思います。

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