Azure Reserved Instance(RI)は、Azureの料金体系における割引プランの一つで、1年または3年の契約期間を条件に、従量課金制の料金と比較して最大72%のコスト削減が可能です。ただし、仕組みや支払い方法が少し複雑で、誤解されるケースも少なくありません。また、AWSにも、「RI」という同様の名前の割引プランがあることで、同じような仕組みであると誤解されるケースもあります。本記事では、Azure RI特有の支払いに関する重要なポイントを紹介します。
Azure RIの支払いに関するTips10
① 一括前払いだけでなく、月払いも選択可能
Azure RIは、一括前払いのほかに月払いを選ぶことができます。月払いの場合、初月からコスト削減を実現できます。ただし、購入日次第では初月にコスト削減ができないケースもあるため、以下②をご確認ください。
なお、一部サービスでは月払いができないものもあるため、購入前にご確認ください。
② 月払いは、実質月額前払いである
RIの月払いは購入日から1ヶ月分の料金が計上される仕組みです。例えば、10月25日に購入した場合、10月25日~11月24日分の費用が購入日に計上されます。
ただし、上記の場合、初月は従量課金の料金とRI購入費用が重なるため、コストが高くなる可能性があります。月払いでも割引を最大限活用したい場合は、月初に購入することをおすすめします。
③ 月払いを選択した場合、月の日数が異なっていても毎月の購入費用は同じ
月払いの料金は「一括前払い料金÷契約月数」で計算されるため、月ごとの日数に関係なく毎月の購入費用は一定です。
④ 月払いと一括前払いで購入費用が変わる可能性がある
CSP契約の場合、為替の変動によって購入費用が異なる可能性があります。一括前払いは購入時の為替レートですが、月払いは毎月の為替レートに基づくため、購入費用が変動します。
一方、EA契約のような為替変動を受けない契約形態では、この問題は発生しません。
⑤ RI購入日時・RI購入費用の支払日は指定できない
RIの購入日時や購入費用の支払日は指定できません。購入対応をした日時から割引が開始され、支払日もそのタイミングで固定されます。
⑥ RIのキャンセルは基本可能で、解約料も発生しない(ただし例外あり)
2025年9月時点では、RIのキャンセルは可能で解約料も発生しません。ただし、以下の制限があります。
- 過去12か月間において5万ドルを超える返金となるキャンセルは不可
- 以下のサービスはキャンセル不可
Azure Databricks の事前購入プラン
Synapse Analytics の事前購入プラン
Red Hat プラン
SUSE Linux プラン
Microsoft Defender for Cloud の事前購入プラン
Microsoft Sentinel – 事前購入プラン
また、将来的には返金額の12%が解約料として発生する予定があります。
⑦ RIをキャンセルした場合の返金額は、残期間分の全額
キャンセルを実施すると、キャンセル時点までの利用分を除いた残期間の費用が日割り計算され、全額返金されます。
⑧ RIの交換は可能だが、制約あり
RIの交換は可能ですが、交換元の合計返金額以上の支払いが発生するものに限られます。また、交換後の予約は、交換したタイミングから新規購入と同様の扱いとなります。
なお、RI交換は廃止予定があるため、今後の動向に注意が必要です。
⑨ RI購入後、購入済のRIの請求頻度を変更することはできない
購入済のRIの請求頻度(月払い→一括前払い、一括前払い→月払い)は変更できません。ただし、予約の交換の実施、または予約更新のタイミングであれば、頻度を変更することは可能です。
⑩ RIの購入費用は、購入時に設定した課金サブスクリプションに計上・請求される
RI購入時に設定した課金サブスクリプションに費用が計上されます。
この課金サブスクリプションは購入後に変更できません。ただし、予約の交換の実施、または予約更新のタイミングであれば、課金サブスクリプションを変更することは可能です。
なお、CSP契約の場合はリセラー次第で別請求になるケースもあります。
おわりに
Azure RIの支払いに関するTips10をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
RIは、正しく利用することで大幅なコスト削減を実現できる非常に有用なプランです。しかし、その仕組みや支払い方法には注意すべき点が多く、今回ご紹介した内容以外にも配慮が必要なポイントがいくつか存在します。
もし、自社だけではRIの購入判断やRI購入後の管理が難しいとお感じの場合は、ぜひ以下のコスト最適化ソリューションをご活用ください。Azureのコスト最適化を進めるお手伝いをさせていただきます。