Microsoft 365 Backup のご紹介

はじめに

Microsoft 365 Backup は、2023 年 7 月に開催された Microsoft Inspire 2023 で発表され、その後のパブリック プレビューを経て、2024 年 7 月に一般提供が開始されました。

Welcome to Microsoft Inspire 2023: Introducing Microsoft 365 Backup and Microsoft 365 Archive – Microsoft Community Hub
Microsoft 365: Microsoft 365 Backup | Microsoft 365 Roadmap | Microsoft 365

これは、文字通り Microsoft 365 向けのバックアップサービスです。ユーザー企業にとってバックアップとデータの復元が実施しやすくなった点ではメリットがあり、これにより、自社でデータ保護を取り組みやすくなると思います。

Microsoft 365 Backup とは

Microsoft 365 は、常に利用できるように設計されており、災害時の復旧やセキュリティ、データのプライバシーも守ります。ただ、大規模なランサムウェア攻撃や、エンドユーザーによる偶発的または悪意のあるデータの削除または破損などの大惨事から Microsoft 365 のデータを守るために、お客様は長期間にわたって自分でデータを復旧できる機能の強化を求めています。

Microsoft 365 Backup は、OneDrive、SharePoint、Exchange データの高速バックアップと復元を提供し、頻繁な復元ポイントと短い平均復旧時間でビジネスの継続性を確保します。

Microsoft 365 Backup の概要 | Microsoft Learn

Microsoft 365 Backup は、バックアップとデータ復元の機能を提供します。対象は以下のとおりで、バックアップ保護されたコンテンツは、1 年間保有されます。

  • OneDrive アカウント
  • SharePoint サイト
  • Exchange メールボックス
    • メール
    • メモ
    • 連絡先
    • 予定表
    • タスク

バックアップおよびデータの復元の操作は、テナントレベルの管理者のみが行うことができます。

管理者OneDrive アカウントSharePoint サイトExchange メールボックス
グローバル管理者
SharePoint 管理者
Exchange 管理者

エンドユーザーは、自身の OneDrive、メールボックスを自由にバックアップおよびデータの復元を行うことはできません。また、エンドユーザー自身が SharePoint サイトのサイト管理者または所有者であっても、そのサイトのバックアップおよびデータの復元を行うことはできません。

Microsoft 365 Backup の料金

Microsoft 365 Backup は、従量課金制のサービスです。
Microsoft 365 Backup では、コンテンツがバックアップ保護に追加された時点から 1 年間保持し、バックアップ保護されたコンテンツに対して、月ごとに 1 GB 当たり 0.15 ドル課金されます。

Microsoft 365 Backup の価格モデル | Microsoft Learn

例えば、上図のグラフでは、以下の事柄を表す例です。

  • 初めの 1 か月間に容量が 10 GB のアイテムをバックアップ保護した場合、10 GB のバックアップ使用量が課金される
  • その後、そのアイテムの容量が 7 GB → 5 GB と小さくなった場合、小さくなった分 (3 GB、5 GB) は 1 年間保持されるため、次月は 10 GB (7+3 GB、5+5 GB) のバックアップ使用量が課金される
  • 保持期間の期限が切れた 1 年後は、7 GB → 5 GB のバックアップ使用量が課金される

Microsoft 365 Backup のセットアップ

Microsoft 365 管理センターで、次の 3 ステップで Microsoft 365 Backup の使用を簡単に開始できます。

Microsoft 365 Backup を設定する | Microsoft Learn

(1) 従量課金制の設定

Microsoft 365 Backup は、Microsoft Syntex というサービスを利用して実現します。

Microsoft Syntex は、仕事の流れに組み込まれたコンテンツ AI です。Syntex は、大量のコンテンツを自動的に読み取り、タグ付け、インデックス付けを行い、必要な場所で検索やアプリケーション、再利用可能なナレッジとして活用できるようにします。コンテンツのライフサイクル全体を管理し、強力な分析、セキュリティ、自動保存機能を提供します。人を中心に据えたアプローチで、コンテンツをコラボレーションやワークフローに統合し、コストからメリットへと変換します。

手順 1: 従量課金制の設定

Microsoft 365 Backup の従量課金制を設定するには、この Microsoft Syntex リソースをデプロイするために、事前に以下のものを用意しておきます。

  • Microsoft 365 テナント (Microsoft Entra ID) に紐づく Azure サブスクリプション
    • Azure リソースの論理コンテナー
    • 作業アカウントに使用する Azure サブスクリプションの所有者または共同作成者ロールが必要です
  • 上記 Azure サブスクリプション内のリソースグループ
    • Azure リソースの論理グループ
  • リージョン
    • サービスを登録するリージョン
    • Microsoft 365 管理センター上の操作で指定します

準備が整ったら、従量課金制の設定の手順に従って操作します。
なお、この作業を実施するには、作業アカウントがSharePoint 管理者またはグローバル管理者である必要があります。

(2) Microsoft 365 Backup を有効にする

手順 2: Microsoft 365 Backup を有効にするに従って、Microsoft 365 Backup を有効にします。

(3) データを保護するためのバックアップ ポリシーを作成する

Microsoft 365 Backup が有効になったので、手順 3: データを保護するためのバックアップ ポリシーを作成するに従ってバックアップ ポリシーを作成し、コンテンツの保護を開始します。

Microsoft 365 Backup でバックアップ ポリシーを作成、表示、編集する | Microsoft Learn

データの復元

バックアップ ポリシーにより保護されたコンテンツから特定の以前の時点 (復元ポイント) から復元することができます。
復元ポイントは、以下のように選択することができます。

  • 手動で復元ポイントを選択
  • データの復元機能で推奨される高速復元ポイントを選択
    ※OneDrive アカウント、SharePoint サイトのみ

バックアップ保護されたコンテンツそれぞれの復元ポイントの頻度は、以下のとおりです。

バックアップ保護されたコンテンツ過去 0 ~ 14 日間の RPO過去 15 ~ 365 日間の RPO
OneDrive アカウント10分毎1週間毎
SharePoint サイト10分毎1週間毎
Exchange メールボックス10分毎10分毎

Microsoft 365 Backup でデータを復元する | Microsoft Learn

Microsoft 365 Backup の停止

Microsoft 365 Backup を使わなくなった場合は、Microsoft 365 Backup を無効にする必要があります。
※Microsoft 365 Backup を無効にしない限り、バックアップは実施し続けます。

Microsoft 365 Backup のオフボード | Microsoft Learn

Microsoft 365 Backup を無効にすると、初めの 30 日間はバックアップの料金は発生します。この期間内であれば過去にバックアップ保護されたコンテンツからデータを復元できますが、この期間を過ぎると復元できなくなります。Microsoft 365 Backup を無効にしてから 90 日後には、バックアップ ポリシーおよびバックアップ保護されたコンテンツが完全に削除されます。

バックアップ
有効時
バックアップ
無効後
最初の30日間
バックアップ
無効後
31~90日間
バックアップ
無効後
91日以降
新しいバックアップ ポリシーの作成×××
既存のバックアップ ポリシーの編集×××
バックアップ料金××
データの復元××
既存のバックアップ ポリシー×
過去にバックアップ保護されたコンテンツ×

Microsoft 365 Backup を無効にする

Microsoft 365 Backup を無効にするには、以下の手順に従って操作します。

  1. Microsoft 管理センターで、[セットアップ] を選択します。
  2. [ファイルとコンテンツ] で、[Syntax を使用してコンテンツ プロセスを自動化する] を選択します。
  3. [Syntax を使用してコンテンツ プロセスを自動化する] ページで、[Syntax 設定に移動] を選択します。
  4. [Syntax] ページの [Syntax services for] セクションで、[ストレージ] を選択します。製品の一覧から [バックアップ] を選択します。
  5. [バックアップ] パネルで、[オフにする] を選択します。
  6. [バックアップをオフにする] パネルで、[保存] を選択します。

最後に

いかがでしたでしょうか。Microsoft 365 Backup は、ミッションクリティカルなビジネスをバックアップおよび復元するための前例のない速度とスケールを提供します。
一部画面キャプチャーも掲載しましたが、ご覧のとおり簡単なクリック操作でバックアップ、データの復元を行えることがお分かりだと思います。ぜひ、このサービスをご活用いただければ幸いです。

いいね (この記事が参考になった人の数:4)
(↑参考になった場合はハートマークを押して評価お願いします)
読み込み中...

注意事項・免責事項

※技術情報につきましては投稿日時点の情報となります。投稿日以降に仕様等が変更されていることがありますのでご了承ください。

※公式な技術情報の紹介の他、当社による検証結果および経験に基づく独自の見解が含まれている場合がございます。

※これらの技術情報によって被ったいかなる損害についても、当社は一切責任を負わないものといたします。十分な確認・検証の上、ご活用お願いたします。

※当サイトはマイクロソフト社によるサポートページではございません。パーソルクロステクノロジー株式会社が運営しているサイトのため、マイクロソフト社によるサポートを希望される方は適切な問い合わせ先にご確認ください。
 【重要】マイクロソフト社のサポートをお求めの方は、問い合わせ窓口をご確認ください