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はじめに
パーソルプロセス&テクノロジーの郷原です。
WVD環境のサンプルと構成時のポイントについて記載していく2回目の記載になります。
全く同じ構成になることは無いと思いますが、一つでも参考になる要素があれば幸いです。
以前に記事はこちらになりますので、併せてご参照ください。
・Windows Virtual Desktop 構成時の考慮ポイント
https://cloudsteady.jp/post/18204/
・WVD構成サンプル① – Azure ADDS,NetApp Files,Firewall
https://cloudsteady.jp/post/22115/
構成図
今回の構成の特徴としては次の通りです。
・オンプレミスネットワーク内のシステムを利用したい
・Azureサブスクリプションを利用中
・Active Directory には オンプレミスActive Directoryを利用する
・WVDからインターネットへの通信はプロキシサーバーを経由する
考慮ポイント
1.Azure ADを利用しているか?
Azure ADは利用中で、Azure AD Connect でユーザーが同期されています。
【ポイント】
条件付きアクセスを利用している場合の注意は前回記事をご参照ください。
普段ユーザーがAzure ADにサインインすることが無い場合は、ユーザーは自分のAzure ADサインインIDを知らない可能性があります。
またパスワードハッシュ同期をしていない場合にはパスワードも知らない可能性もあります。
事前のAzure ADサインインIDの告知や、パスワードハッシュ同期の有効化をご検討ください。
2.Azure環境はあるか?
Azure環境は利用中でVnetがオンプレミスとExpressRouteで接続されていました。
今回は管理上の都合からWVD用のサブスクリプションを新規に作成し、既存のExpressRouteを使用してそのサブスクリプションに作成したVnetと接続することとします。
なおデフォルトルート(0.0.0.0)は広報されていません(後述)。
※補足※
Azure環境はEA契約でした。
サブスクリプションを分割することで利用料の管理を分けることができるようになります。
【ポイント】
ExpressRoute に関する記載となります。
ExpressRoute(Standard)では最大10のVnetを接続可能ですので、今回の構成は可能になりますがいくつかポイントがあります。
・WVD用Vnetのアドレス空間は既存Vnetとは重複しないようにしてください。
・VPN Gatewayが必要になるためこちらの利用料が発生します。
・1つのExpressRouteに接続されたVnetは分離されていません。
・デフォルトルート(0.0.0.0)が広報されている場合にはご注意ください。
デフォルトルートを広報していない場合は既定のルートが設定されるため、デフォルトルートのネクストホップはインターネットとなります。
デフォルトルートが広報されネクストホップがオンプレミスとなっている場合、この構成はサポートされません。「WVD管理プレーン」への通信経路がオンプレミスを経由するためパフォーマンスが低下する可能性がある他、ストレージアカウントやKMS認証等各種Azureサービスとの通信に影響を及ぼす可能性があります。
仮想ネットワーク トラフィックのルーティング
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-network/virtual-networks-udr-overview#default
3.既存のActive Directory(以下AD)環境を使うか?
既存のAD環境にWVDを参加させる構成とします。
【ポイント】
Active Directoryと通信ができるようにする必要があります。
今回は認証の度にオンプレミスネットワーク上のADに通信するのを防ぐため、Azure上に一台ADを構築してWVDに関してはこのADが認証を行うようにしました。
ExpressRouteを経由してオンプレミスのADとレプリケーションを行います。
コンピューターが所属するネットワークに存在するADで認証を行う必要があるため、Azureとオンプレミスでそれぞれサイトを構成しサイトリンクを作成しました。
サイト設計の作成
https://docs.microsoft.com/ja-jp/windows-server/identity/ad-ds/plan/creating-a-site-design
※公式情報ですが分かりづらいため他のサイトの参照をお勧めします
4.仮想デスクトップ環境に対する要件は?
今回はネットワーク要件に焦点を絞って記載ます。
WVDからインターネットへの通信はオンプレミスのプロキシサーバーを経由させます。
オンプレミスネットワークへのアクセスはオンプレミス、プロバイダーから広報されたルートを参照してアクセスします。
プロキシサーバーはオンプレミスにあるので、ルートを参照してオンプレミスネットワークにアクセスします。
【ポイント】
パフォーマンスの低下を回避するするため、WVD管理プレーンへのアクセスをプロキシサーバーの例外として設定しておく必要があります。
例外はデフォルトルートを参照してインターネットにアクセス動作となります。
終わりに
すでにAzureを利用している場合においてWVDを構成するとき、ネットワークに関する考慮が必要だった経験から今回の記事を記載しました。
WVD導入を控えていて、既存Azure環境の調査が必要になった場合の参考になれば幸いです。