ExpressRoute回線をクラシックからをAzure ResourceManagerリソースへ移行するときの流れ

この記事は更新から24ヶ月以上経過しているため、最新の情報を別途確認することを推奨いたします。

初めに

前回、クラシックリソース(以下ASM)からAzure Resource Manager(以下ARM)リソースへの移行について、説明しました。
前回の記事は以下をご参照ください。
  https://cloudsteady.jp/post/5653/

しかし、ExpressRouteを用いている仮想ネットワークをARMへ移行する場合は、先にExpressRoute回線をARMへ移行する必要があります。

今回は、このExpressRoute回線をASMからARMへ移行する方法について説明します。

 

概要

ExpressRoute回線をARMへ移行する場合、前回とは異なり、GUIでの操作ができません。
従って、今回はコマンドベースでの移行となります。大まかな流れとしては以下の通りです。

 

  1. ASM用モジュール(Azureモジュール)のインストール、インポート
  2. ARM用モジュール(Azモジュール)のインストール、インポート
  3. Azure(ASM)へログイン
  4. 既存のExpressRoute回線(ASM)から名前とサービスキーを取得
  5. Azure(ARMへログイン)
  6. 既存のExpressRoute回線(ASM)をARMへ移行
  7. ARMへ移行したExpressRoute回線に対して、ASMへのアクセス許可
  8. ARMへ移行したExpressRoute回線の更新

 

移行手順

  1. ASM用モジュール(Azureモジュール)のインストール、インポート
    下記コマンドを用いて、PowershellでAzureのASMを操作するために必要なモジュールをインストール、インポートします。

    【実行するコマンド】 
     Install-Module Azure -AllowClobber
     Import-Module Azure


  2. ARM用モジュール(Azモジュール)のインストール、インポート
    下記コマンドを用いて、PowershellでAzureのARMを操作するために必要なモジュールをインストール、インポートします。

    【実行するコマンド】
     Install-Module -Name Az -AllowClobber
     Import-Module Az


  3. Azure(ASM)へログイン
    下記コマンドを用いて、Azureにログインします。

    【実行するコマンド】
     Add-AzureAccount
     (上記コマンド実行後、認証画面が出るので、Azureのアカウント情報を入力します。)
     Select-AzureSubscription $subscription 
     ($subscription:操作したいリソースが所属するサブスクリプションの名前)


  4. 既存のExpressRoute回線(ASM)から名前とサービスキーを取得
    下記コマンドを用いると、既存のExpressRoute回線(ASM)の情報を取得できます。その中で、「CircuitName 」、「ServiceKey」という項目がありますので、そちらに記載されている値を記録してください。

    【実行するコマンド】
     Get-AzureDedicatedCircuit


  5. Azure(ARM)へログイン
    下記コマンドを用いて、Azureにログインします。

    【実行するコマンド】
     Connect-AzAccount 
     (上記コマンド実行後、認証画面が出るので、Azureのアカウント情報を入力します。)
     Get-AzSubscription -SubscriptionName $subscription | Select-AzSubscription 
     ($subscription:操作したいリソースが所属するサブスクリプションの名前)


  6. 既存のExpressRoute回線(ASM)をARMリソースへ移行
    下記コマンドを用いて、既存のExpressRoute回線(ARM)をARMリソースへ移行します。

    【実行するコマンド】
     Move-AzExpressRouteCircuit -Name $circuitname -ResourceGroupName $resourcegroupname
     -Location $location -ServiceKey $servicekey
     ($circuitname:「4.」で取得したExpressRoute回線の名前
      $resourcegroupname: ExpressRoute回線(ARM)を格納するリソースグループの名前
      ※ExpressRoute回線(ARM)を格納するリソースグループがない場合は新規で作成する必要があります。
      $location:ExpressRoute回線(ARM)のリージョン
      $servicekey:「4.」で取得したExpressRoute回線のサービスキー

  7. ARMへ移行したExpressRoute回線に対して、ASMへのアクセス許可
    下記コマンドを用いて、ARMへ移行したExpressRoute回線を取得して、クラシックモデルへのアクセスを許可します。
    これにより、ARMへ移行したExpressRoute回線がクラシックVnetでも使用することができます。

    【実行するコマンド】
     $ckt = Get-AzExpressRouteCircuit -Name $newcircuitname -ResourceGroupName $resourcegroupname
     ($newcircuitname:ARMへ移行したExpressRoute回線の名前
      $resourcegroupname: ExpressRoute回線(ARM)を格納しているリソースグループの名前)
     $ckt.AllowClassicOperations = $true


  8. ARMへ移行したExpressRoute回線の更新
    下記コマンドを用いて、「7.」で設定したものを、ARMへ移行したExpressRoute回線に反映させます。

    【実行するコマンド】
     Set-AzExpressRouteCircuit -ExpressRouteCircuit $ckt
     ($ckt:「7.」で取得したExpressRoute回線)

手順は以上となります。

 

注意点

・今回使用するコマンドではASM用モジュールのコマンドとARM用モジュールのコマンド2種類あります。ASM用モジュール内のコマンドでは、あくまでASMしか取得、作成、変更ができず、ARMのものは取得、作成、変更ができません。ARM用モジュール内のコマンドについても同様です


・ASM用モジュール内のコマンドを用いてAzureにログインしても、あくまで、ASM用モジュールしか使用できず、ARM用モジュールを使用するためには、ARM用モジュール内のコマンドを用いて、別途ログインする必要があります。


・ASMモジュール内のコマンドを使用するためには、下記コマンドでAzureにログインする際に使用するアカウントに
「共同管理者」という権限を持たせる必要があります。詳細は以下をご参照ください。
  https://cloudsteady.jp/post/957/

 

・ExpressRoute回線をASMからARMへの移行する際、切り戻しができないので、切り戻し用のExpressRoute回線を別途用意することにより、より安全に移行することができます。(Microsoftへ問い合わせをし、現状、ExpressRoute回線のASMからARMへの移行で失敗したケースはないと聞いております。)

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