AzureにおけるRI(リザーブドインスタンス)の解説

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はじめに
皆さんはAzureのRI(リザーブドインスタンス)をご存知でしょうか。RIはAWSなどでもリリースされており、名前は知っていると、言う方も多いのではないでしょうか。
RIは、簡単に言うと「従量課金ではなく、定額料金かつ割引価格で仮想マシンが利用できる」サービスです。
メリットとしては、一定期間ずっと稼働しておくのであれば、従量課金より安い金額で仮想マシンを利用できるという点にあります。
エンドユーザー向けや社内基盤サーバなど、24時間365日で稼働するサーバであれば是非とも利用したいサービスですが、このRI、通常の仮想マシンの考え方とは大きく異なるものとなっております。
本記事では、RIの概要、および一般的に気になることをわかりやすくご紹介していきたいと思います。

 

RIの概要
RIは「リザーブドインスタンス」と言う名前の通り、仮想マシンと同じようなVMをイメージしてしまいがちですが正確には「割引プラン」や「事前購入チケット」という捉え方が近いです。RIのサービス内容を具体的に説明すると以下の様になります。
「指定したサブスクリプション、指定した期間、指定したリージョン、指定したVMサイズで稼働する仮想マシンの稼働費用を割引価格で先払いできる」サービスである。

つまり、RIは購入するとRIという種類の仮想マシンが構築されるわけではなく、指定した条件下で稼働する仮想マシンの料金を割引価格で先払いできる、という機能になります。次に図を使って解説します。

上記の図は4月から3月までの間、RIで指定する条件に一致する、稼働する仮想マシンの台数の推移です。
4月から1年間、稼動している仮想マシンのサブスクリプション、リージョン、サイズの条件が一致する形でRIを購入した場合赤枠で囲まれた部分の料金が無料(正確には割引される)となります。言い換えると、4月の時点で赤枠部分の料金は支払いが済んでいる状態なので、赤枠部分である4月から3月の間は、仮想マシン2台まではどれだけ稼動しても料金が発生しない、と言えます。

また、図からもわかる通り、RIは特定のインスタンスに紐づかないため、一部仮想マシンが停止して、「2台」のサーバの中身が変わったとしても、RIの割引を受けることが可能です。逆に、10月のタイミングの様に台数が1台になってしまった場合、そこの分の費用は先払いしてしまっているので、もう1台稼働していても料金は発生しないのに1台しか稼働させずにもったいない、という形になります。

これを踏まえて、RIの設定手順を見てみましょう。

 

RI設定手順(従量課金・EAサブスクリプションの場合)
以下に従量課金・EAのサブスクリプションの場合のRI設定手順を記載します。

1. Azure ポータル (https://portal.azure.com) にサインインします。

2. 左側[全てのサービス]をクリックし、検索ボックスに「予約」と入力し[予約]をクリックします。


3. 画面左上の [+ 追加] をクリックします。


4. 画面右側に表示される「仮想マシンの予約インスタンス」個所の[選択]をクリックします。


5. Reserved VM Instance のご購入画面が表示されますので、以下項目を選択・入力します。


・名前:RIの名前です。任意でOKです。
・サブスクリプション/スコープ:このRIの適用範囲です。[共有]の場合請求先が同一のサブスクリプションは全て含まれ、[単一サブスクリプション]の場合指定したサブスクリプションが適用範囲となります。
・リージョン:このRIの適用範囲です。
・VMサイズ:このRIが適用されるVMサイズです。
・契約期間:1年 or 3年で設定可能です。
・数量:適用対象とする仮想マシンの台数です。

6. 料金を確認し、[購入] をクリックします、これによってRIの購入が完了します。

※EAサブスクリプションの場合、上記手順の前に、EAポータルでRIの有効化の実施が必要になります。

※CSPサブスクリプションの場合パートナーセンターを使用して、RIの購入、管理をご実施いただきます。
CSPサブスクリプションでのRI購入方法については、下記以下URLをご参照ください。

Microsoft Azure Reserved VM Instances の販売
https://docs.microsoft.com/ja-jp/partner-center/azure-reservations

パートナー ダッシュボードで顧客に代わって Microsoft Azure Reservations を購入する
https://docs.microsoft.com/ja-jp/partner-center/azure-reservations-buying

 

手順を見るとより理解が深まったかと思います。
最後に、よくある質問と回答をまとめましたので紹介します。

 

よくある質問と回答

Q.RIはキャンセルできますか?
A.できます。ただし、残りの日数分が全額支払われるわけではなく、残り日数分の12%が解約手数料として差し引かれた金額が返金されます。

Q.RIのキャンセルは、台数単位でできますか?(例えば5台で購入した後に、2台分キャンセルする等)
A.できます。

Q.RIをキャンセルした際、仮想マシンに影響はありますか?
A.全くありません。

Q.RIの追加購入はできますか?
A.追加の購入は可能ですが、購入時から1年or3年の期間となり、既存のRIの期限に合わせて追加することはできません。

Q.RIは、指定した条件下における仮想マシンがなくても購入できますか?
A.できます。その場合仮想マシンがなくても、先払いの金額はわからないため純粋な損になります。
 仮に、その後に条件に一致する仮想マシンを構築した場合、RIの提供対象となります。

Q.利用可能なサブスクリプションは?
A.従量課金プラン、EA、CSPで利用可能です。

Q.RIを購入した場合の請求タイミングはいつですか?
A.購入当月に一括前払いとなります。

Q.RIの適用される料金はどの料金ですか?
A.コンピューティング料金です。正確に言うと「ハードウェア分のコンピューティング料金」です。
 実はAzureで仮想マシンを稼働し続けると発生するコンピューティング料金と言うのは、「ハードウェア部分」と「ソフトウェア部分」に分かれており、適用されるのは「ハードウェア部分」のみとなります。
 (LinuxやWindows OSなどによってコンピューティング料金が違うことを考えるとイメージしやすいかと思います)
 ですので、RIが適用されている仮想マシンにおいても、「ソフトウェア分のコンピューティング料金」は従量課金のままとなるので停止することでコスト節減にはなります。
 ただ、あまりにも停止時間が長いとそもそもRIより従量課金の方がコストメリットは出る場合もありますので、そのあたりはバランスですね。。。

 

終わりに
いかがでしたでしょうか。
RIは先払いであることや、上記の考え方が特殊なため導入にハードルがありますが、常時稼働の仮想マシンがある場合確実にコストメリットが出る機能ですので、是非とも利用してみることをおススメします。

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