はじめに
こんにちは、パーソルの永井です。
本記事ではAzure Virtual Desktop(以下AVD)を利用する際に発生するコストと、そのコスト最適化方法についてご紹介します。
セッションホスト(仮想マシン)の稼働管理からライセンス費用まで、様々なポイントでコストを最適化することによって、
最適なコストで必要なパフォーマンスを提供できる環境を構築・運用しましょう!
なお、ここではAVDを利用する上で基本的に必要となるリソースやサービスについて取り上げます。
AVD外のオプション的な機能やサービス(例えばExpressRouteやAutomation、Azure Firewallなど)については扱いません。
また、ドメイン参加や認証に関わるAD/Entra IDやその関連サービス、インターネットやファイルサーバー等との通信部分については、
各環境で構成が異なり、コストについて網羅的に記載することが難しいため、ここでは割愛させていただきます。
コスト発生箇所
AVDを利用する場合、基本的に以下のコストが発生します。※赤字のものは必ず発生するもの
多くのケースで傾向的に発生するコストが高い順に記載します。
- セッションホストのコンピューティングコスト
- ユーザーが接続するセッションホストの稼働費用。
- 仮想マシンのサイズや稼働時間によって金額が変動します。
- セッションホストのディスクコスト
- システムデータやプロファイルを一時的または常時保存するOSディスク費用。
- ディスクのタイプやサイズによって金額が変動します。
- プロファイル保存のストレージコスト
- FSLogixを利用してプロファイルを保存するためのストレージ(ストレージアカウントやAzure NetApp Filesなど)の費用。
- 利用するストレージのSKUや使用量によって金額が変動します。
- シングルセッションで固定プロファイルとした場合は「2. セッションホストのディスクコスト」に包括されます。
- AVDを利用するためのライセンス費用
- ユーザーに付与されるAVD使用のためのライセンス費用。
- 利用しているライセンスの種類やその購入先によって金額が変動します。
- マスターイメージの保存コスト
- セッションホストの展開に使用するマスターイメージの保存先に掛かるストレージ費用。
- 保存先ストレージの種類、イメージのサイズ、保持する世代数、冗長構成などによって金額が変動します。
- ログの転送/保存コスト
- Azure MonitorやLog Analyticsでの分析に使用する各種ログの転送および保存費用。
- 保持期間や保存先のストレージタイプによって金額が変動します。
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コスト最適化ポイント
前述したコスト発生箇所それぞれでコスト削減のポイントを記載します。
なおこの順番は傾向的に[発生するコストが高い] = [コスト削減額が多くなる]順にしていますので、基本的にどれも重要なポイントですが上から順にご確認されると効果が出やすいと思います。
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セッションホストのコンピューティングコストの最適化
- 自動スケーリングの活用: 必要な時にのみ仮想マシンを稼働させることで、無駄なコストを削減します。AVDの利用ケースによってはAutomationなどの利用も必要かもしれませんが、基本的にはスケーリングプラン(利用コスト無料!)の活用を推奨します。
Azure Virtual Desktop の自動スケーリング プランを作成して割り当てる - 適切なサイズ選定: ユーザーの利用状況に応じた仮想マシンサイズを選定し、最適なリソースを提供します。利用状況の確認にはAzure Virtual Desktop Insightsの導入が効率的です、ログの保存料などで多少追加料金が掛かりますが、仮想マシンのサイズ最適化が出来れば十分ペイできます。
Azure Virtual Desktop を監視する Insights を有効にする - マルチセッションの活用:シングルセッションで運用している場合は可能な限りマルチセッションを活用することでコストを削減できるケースが多いです。ただしシングル/マルチそれぞれのホストプールやアプリケーショングループ、マスタイメージの管理、運用するコストがオーバーヘッドとなる場合がある為、セッションタイプの変更はよく検討した上で行いましょう。
- 予約インスタンス(RI)および節約プラン(Saving Plan)の利用: AVDのセッションホストに使用している仮想マシンも、通常の仮想マシンと同様に予約インスタンスや節約プランの適用が可能です。長期間利用予定の仮想マシンに対して予約インスタンスや節約プランを利用することで、コストを削減します。ただし、事前に上記3つのポイントを最適化しないと、効果を最大化することはできません。
- 自動スケーリングの活用: 必要な時にのみ仮想マシンを稼働させることで、無駄なコストを削減します。AVDの利用ケースによってはAutomationなどの利用も必要かもしれませんが、基本的にはスケーリングプラン(利用コスト無料!)の活用を推奨します。
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セッションホストのディスクコストの最適化
- ディスクの種類とサイズの見直し: 利用用途、パフォーマンス要件に応じて適切なディスクタイプとサイズを選定します。移動プロファイルにしている場合は、最低限プロファイルを一時保存できるサイズにします。
- 不要となったシステムファイルの削除:長期間の運用となり、マスターイメージの更新を重ねていくと不要となったアプリのシステムファイルが残ってしまうことなどがあります。作成する際の工数を鑑みた上で、低頻度で良いのでイメージを1から作り直すことで、長期的な目線で見たときにストレージコストの削減になるケースもあります。(不要なファイルが悪さをして不具合を起こし対応コストが発生するケースも防げる)
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プロファイル保存のストレージコストの最適化
- プロファイルサイズの制限:1ユーザーあたりが保存できるプロファイル容量を制限し、無駄なファイルを保存させない運用にしましょう。
- ストレージ階層の利用: 使用頻度に応じて異なるストレージ階層を利用し、コストを最適化します。頻繁にアクセスしないデータはクール層に保存しましょう。
- 不要データの削除/ライフサイクル管理: 使用しなくなったユーザーのプロファイルや古いデータを削除もしくはアーカイブストレージに移動させることで、コストを削減します。
- サービスレベル/スループットの変更:求められるIOPSに応じて過剰な性能となっている場合は、サービスレベルやスループットの割り当てを見直します。
Azure NetApp Files のサービス レベル - 予約インスタンス(RI)の利用:かなり大容量(Azure NetApp Filesの場合は100TiBから)の使用をしている場合に限られますが、予約インスタンスを活用することで大幅な金額削減が可能です。
Azure NetApp Files の価格
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AVDを利用するためのライセンス費用の最適化
- ライセンスの適切な選定: ユーザーの利用状況に応じた最適なライセンスを選定します。AVDのみを利用できれば良いのに、過剰なライセンスを使用している場合は、最適なライセンスに切り替えましょう。
Azure Virtual Desktop のライセンス - ライセンスの有効活用: 不要なライセンスを適宜解約することで、コストを削減します。余剰なライセンスを極力つくらないように、利用ユーザーの予測を立てる事が大切です。
- ライセンス購入先の検討:ライセンスの数が少ないうちはあまり効果が出ませんが、購入先によって価格や購入時の反映スピードなどが変わるので、定期的に見直しましょう。
- ライセンスの適切な選定: ユーザーの利用状況に応じた最適なライセンスを選定します。AVDのみを利用できれば良いのに、過剰なライセンスを使用している場合は、最適なライセンスに切り替えましょう。
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マスターイメージの保存コストの最適化
- イメージの整理と削減: 必要なマスターイメージのみを保持し、不要なイメージを削除します。「安定している世代のみを残す」「3世代のみ保持する」など事前に運用を決めることで、不要なコストを削減できます。また、ディスクのところでも記載しましたが、不要なファイル類を残さない(イメージのサイズを最適化する)為に、低頻度で良いのでイメージの作り直しも選択肢に入れて運用をしましょう。
- ストレージの種類の見直し: イメージの保存先として最適なストレージタイプを選定します。また、冗長構成についても無駄が発生していないか確認します。過剰なレプリケートがされていないか、バックアップ先にPremium SKUなどハイパフォーマンスなSKU使用する利点はほぼありません(リストアが早いくらい)。
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ログの転送/保存コストの最適化
- 保存するログの見直し:転送/保存コスト共に削減できます。情報分析に必須なログのみを取得、Azure規定で用意されているものは広範囲のログを選択しているケースが多いので、そのまま使用するのではなく可能な限りカスタマイズしましょう。
- ログの保持期間の見直し: 必要な期間のみログを保持し、不要なログは削除します。
- ログのプラン見直し: 情報分析に必要なログのプランを選択します。また、プランによっては課金アカウント単位で無料枠が設定されているので有効活用しましょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか、AVDは様々な要素でコスト最適化が可能という事がお判りいただけたかと思います。
構築時にこれらご紹介したことを確認検討するのは勿論必要ですが、運用していく中でこそ気を付けておかないと、
常時変動する要素が多い為、知らず知らずの内に無駄なコストが発生してしまうサービスだと思います。
ただ、いざコストの最適化をしようとしても環境が膨大・複雑であったり、コスト削減検討の工数が足りない等のお声もあるとかと思います。
そんな時には、是非弊社の「Azureコスト最適化ソリューション」をご活用ください。
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