Basic ロードバランサーは 2025 年 9 月 30 日に廃止されることがMicrosoft社より発表されています。
廃止までにStandard ロードバランサーにアップグレードする必要がありますので、この記事ではスクリプトを用いたアップグレード方法について紹介します。
前提
- ロードバランサーにフロントエンド IP 構成またはバックエンドプールがあること。
-
ロードバランサーに関連付けてられているパブリック IP アドレスの割り当てが [静的] であること。
割り当てが[動的]である場合、以下の手順にて[静的]に変更する。
(1)Azureポータルにサインインする。
(2)Basic ロードバランサーに関連付けられている基本的なパブリック IP アドレスを選択する。
(3)パブリック IP アドレスの[設定]で、[構成] を選択する。
(4)[割り当て] で [静的] を選択後、[保存]を選択する。
アップグレード
アップグレードはAzure Powershellにて実施します。
Azure PowershellのインストールについてはMicrosoft社サイトを参照してください。
- Powershellを管理者として実行する。
- アップグレード対象のロードバランサーのあるAzureサブスクリプションにサインインする。
Connect-AzAccount -Tenant [テナントID] -Subscription [サブスクリプションID] - アップグレード用のスクリプトをインストールする。
Install-Script -Name AzurePublicLBUpgrade
- アップグレードを実行する。
AzurePublicLBUpgrade.ps1 -oldRgName “[リソースグループ名]” -oldLBName “[Basic ロードバランサーのリソース名]” -newLbName “[Standard ロードバランサーのリソース名]”
- スクリプトにより以下の各処理が実行され、ロードバランサーのアップグレードが完了します。
– Standard ロードバランサーの作成
– Basic ロードバランサー設定のStandard ロードバランサーへの移行
– ロードバランサーに関連付けられているパブリックIPアドレスのBasic からStandardへのアップグレード
– 送信接続を有効にする既定のアウトバウンド規則の作成
※Basic ロードバランサーの削除はスクリプトでは実行されませんので、手動での削除が必要です。
確認
アップグレードが完了しているか、Basic ロードバランサーとStandard ロードバランサーの設定を確認してみます。
- ロードバランサー SKU アップグレード
SKU:Basic → Standardにアップグレードされている
- パブリックIPアドレス SKU アップグレード
SKU:Basic → Standardにアップグレードされている
IPアドレスは変更なし
- フロントエンドIPの構成
設定は全て引き継がれている。
規則の数が5 → 6に増えている。
増えている規則は既定のアウトバウント規則。
- バックエンドプール
設定は全て引き継がれている。
規則の数が3 → 4に増えている。
増えている規則は既定のアウトバウント規則。
- 正常性プローブ
設定は全て引き継がれている。
- 負荷分散規則
規則は全て引き継がれている。
規則の設定のうち、セッション永続化はBasicロードバランサーで「なし」と設定していたが、Standardロードバランサーでは「クライアントIP」と変更となっている。
アウトバウンド規則を利用する設定が追加されている。
- インバウンドNAT規則
規則は全て引き継がれている
ターゲット仮想マシンは「なし」となってしまうため、手動で設定が必要となる。
まとめ
- スクリプトによるアップグレードにかかる時間は数分程度。
- Basic ロードバランサー → Standard ロードバランサーに各種設定は基本全て引き継がれるが、負荷分散規則のセッションの永続化設定、インバウンドNAT規則のターゲット仮想マシンは再設定が必要となる。
- Basic ロードバランサーの削除はスクリプトでは実施されないため、手動での削除が必要となる。
- Standard ロードバランサーでのみ使用可能な送信規則に既定のアウトバウンド規則の作成が作成される。
参考
Basic Public から Standard Public へのロードバランサーのアップグレード
Basic ロードバランサーとStandard ロードバランサーの機能比較
Azure Load Balancer のアウトバウンド規則