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はじめに
こんにちは、2022年3月にAzureでオンデマンド容量予約がGAされました。
ただ、このネーミング非常にわかりづらいですよね。名前だけでは機能をイメージできません。
稼働時間を1年、3年と保証する代わりに割引で利用可能なリザーブドインスタンス(以下RI)を和訳して「予約」と言うため、
RIに関連しそうな気もしますが、ドキュメントを見てもいまいちそう見えないのです。
この記事では新機能オンデマンド容量予約についてわかりやすく解説するとともに、
本機能に対してよくあるFAQも記載し皆さんの疑問を解消したいと思います。
オンデマンド容量予約とは
オンデマンド容量予約とは、特定リージョンの特定サイズのVMのインスタンスを事前に確保しておくことで、
確実なVMデプロイを保証する可用性・信頼性を向上できる機能です。
Azureでは、稀にVMを構築・起動しようとした際、サブスクリプションの制約や、物理基盤側の影響によって、VMをデプロイできない場合があります。仮に障害や性能不足で急ぎVM作成やVMサイズ変更をしたい場合に、その制約に抵触するとVMの構築やサイズ変更ができず障害対応、性能補填ができません。そんな時、事前にオンデマンド容量予約を構築していると、上記の制約があってもVMの構築が可能となります。
コストメリットはないの?
オンデマンド容量予約の機能にはコストメリットはありません。
オンデマンド容量予約はプロビジョニングした時点から料金が発生し、オンデマンド容量予約を適用したVMを構築していなくても料金は発生します。
さらに、発生する料金はVMを稼働している場合と同額となります。ただし、オンデマンド容量予約を適用したVMの稼働料金は発生しません。
そのためオンデマンド容量予約は紐づくVMがあろうがなかろうが料金は一定発生してしまいます。
つまり、オンデマンド容量予約は単純に可用性・信頼性を高める機能でいわゆるRIの様なコストメリットがある機能ではないのです。
オンデマンド容量予約 vs VMを余分に構築しておく
ここまで読むと「VMを構築していないのにお金がかかる位なら、VMを構築しておけばいいのでは?」と思う方も多いと思います。私もそう思いました。ではオンデマンド容量予約が、VMを事前に構築しておくケースと比べたメリット・デメリットを紹介しましょう。
メリット
・どんなサーバの代用にもなる
オンデマンド容量予約はあくまでコンピューティングの予約だけとなるため、どのサーバの代わりとしても使えます。VMを事前に構築しておく場合、サーバのNW設定や場合によってはOS内部設定も固定した状態で用意されているため、緊急時の柔軟性は一定失われてしまいます。
・VM起動時の制約の影響を受けない
VMが利用できない制約は、VMを構築できないだけでなく、VMを起動できない場合も存在します。そのため、緊急用VMを構築して停止しておいても、いざという時に起動できない、というケースがありますが、オンデマンド容量予約を利用していれば起動できない制約の影響も受けずにVM起動が行えます。
デメリット
・コストがかかる
VMを事前に構築していたとしても、VMを停止しておけば費用は発生しないため、オンデマンド容量予約の方がやはりコストは高いです。補填としてRIを積極的に活用するとよいでしょう。
・VM増設対応に時間がかかる
VMを事前に構築しておき、サーバのOS内部も設定しておくことで、VM増設時にスムーズに稼働・対応させることが可能です。オンデマンド容量予約を使う場合、基本は必要な時に初めてVMを構築するため、対応にやや時間を要するでしょう。
よくあるFAQ
Q.どこから作成できる?
A.AzureポータルでもAzure CLIでもAzure PowerShellでも作成可能です。
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-machines/capacity-reservation-create?tabs=powershell1%2Capi2
Q.オンデマンド容量予約を指定したVMの構築はどこからできる?
A.こちらについてもAzureポータルでもAzure CLIでもAzure PowerShellでも作成可能です。
Q.オンデマンド容量予約のプロビジョニングインスタンスにRIの適用は可能?
A.可能です。オンデマンド容量予約の特性上、長期間保有しておき、性能変動なども少ないケースが多いため、RIは積極的に活用しましょう。
Q.オンデマンド容量予約を設定しようとしたら実際のVMサイズよりコストが高く表示されるんだけど?
A.こちらは私も試したところ2022年5月現在日本語表示では誤った金額が表示されるケースがあるようです。改善を待ちましょう。
Q.オンデマンド容量予約をキャンセルすると違約金等は発生しますか?
A.発生しません、プロビジョニング、削除に応じて金額が発生、停止されます。
おわりに
「予約」という言葉からコストメリットのある機能かと思いきや可用性、信頼性を高める機能でした。
稀にとはいえ世界情勢の変動や半導体不足等、想定通りにVMが構築できない・起動できないリスクもあるとなると、
費用対効果を鑑みつつ、緊急用として一定のオンデマンド容量予約を確保しておくのもよいかもしれません。
Azure活用の新たな選択肢として頭に入れておくとよいでしょう。