この記事は更新から24ヶ月以上経過しているため、最新の情報を別途確認することを推奨いたします。
前回のリザーブドインスタンスの解説記事でリザーブドインスタンスについてはだいぶ理解が進んだかと思います。
さらに FAQ にあった以下の質問を深掘りしていきます。
Q.RIの適用される料金はどの料金ですか?
A.コンピューティング料金です。正確に言うと「ハードウェア分のコンピューティング料金」です。
実はAzureで仮想マシンを稼働し続けると発生するコンピューティング料金と言うのは、「ハードウェア部分」と「ソフトウェア部分」に分かれており、適用されるのは「ハードウェア部分」のみとなります。
(LinuxやWindows OSなどによってコンピューティング料金が違うことを考えるとイメージしやすいかと思います)
ですので、RIが適用されている仮想マシンにおいても、「ソフトウェア分のコンピューティング料金」は従量課金のままとなるので停止することでコスト節減にはなります。
ハードウェア部分とは?ソフトウェア部分とは?
ハードウェア部分というのは Linux 料金と同義となります。Linux 料金にはソフトウェア料金が含まれていないため、純粋にハードウェア部分のみの課金となります。一方で Windows OS を選択した場合は厳密にはハードウェア+ソフトウェア(OS ライセンス料)が含まれています。
また、SQL Server 入の Windows Server を選択した場合はハードウェア+ソフトウェア(OS ライセンス+SQL Server ライセンス)という内訳となります。
リザーブドインスタンスの価格を分析
上記を踏まえて、リザーブドインスタンスの価格をよく見てみよう。
なお、これより以下の内容は筆者の独自の分析や意見のため、マイクロソフトの公式な見解と異なる場合があるためご了承ください。
基準となるインスタンスサイズは F シリーズ(v1)
F1 や F2 の従量料金とリザーブドインスタンスを表にしてみるとこうなります。
F1(2core) | F2(2core) | |
Linux 従量 | 5,150.88 円/月 | 10,301.76 円/月 |
Linux リザーブドインスタンス | 3,509.14 円/月 | 7,028.09 円/月 |
Windows 従量 | 8,911.84 円/月 | 17,823.68 円/月 |
Windows リザーブドインスタンス | 7,270.1 円/月 | 14,550.01 円/月 |
Windows の料金から Linux 料金を引くと Windows OS のライセンス料金が見えてくるということでそれを表に加えてみるとこうなります。
F1(1core) | F2(2core) | |
Linux 従量 | 5,150.88 円/月 | 10,301.76 円/月 |
Linux リザーブドインスタンス | 3,509.14 円/月 | 7,028.09 円/月 |
Windows 従量 | 8,911.84 円/月 | 17,823.68 円/月 |
Windows OS ライセンス料金 (Windows 従量 – Linux 従量) |
3,760.96 円/月 | 7,521.92 円/月 |
Windows リザーブドインスタンス | 7,270.1 円/月 | 14,550.01 円/月 |
このことから 1 コアのインスタンスでは Windows OS のライセンス料は月額3,760.96円が含まれるということがわかりました。2 コアでは7,621.92円です。
ここで Windows のリザーブドインスタンスをよく見ると、Linux のリザーブドインスタンス+ Windows ライセンス料金という計算式と一致することがわかります。
Windows OS ライセンスが割高なサイズ、割安なサイズがある!?
ここがこの記事で一番言いたかったことでもあります。
同じ要領で他のインスタンスサイズを計算するとこのようになりました。
D1v1(1core) | D2v1(2core) | D1v2(1core) | D2v2(2core) | |
Linux 従量 | 8,993.6 円/月 | 18,068.96 円/月 | 8,339.52 円/月 | 16,760.8 円/月 |
Linux リザーブドインスタンス | 4,396.24 円/月 | 8,866.88 円/月 | 3,565.56 円/月 | 7,130.29 円/月 |
Windows 従量 | 13,735.68 円/月 | 27,471.36 円/月 | 11,119.36 円/月 | 22,320.48 円/月 |
Windows OS ライセンス料金 (Windows 従量 – Linux 従量) |
4,742.08 円/月 | 9,402.4 円/月 | 2,779.84 円/月 | 5,559.68 円/月 |
Windows リザーブドインスタンス | 8,157.2 円/月 | 16,388.8 円/月 | 7,326.52 円/月 | 14,652.21 円/月 |
見ていただけるとわかるように D1v1 や D2v2 で Windows 従量 – Linux 従量を計算すると違った数字が出てきます。
ここで、Windows リザーブドインスタンス – Linux リザーブドインスタンスを計算するとなんとFシリーズの Windows OS 料金と一致することがわかります。
つまり、Windows のリザーブドインスタンスの料金は Linux のリザーブドインスタンス + F シリーズの Windows OS という言い方もできるかと思います。
D1v1 の場合: 4396.24 円 + 3,760.96 円 = 8157.2 円となります。他も同様です。
D1v1 は従量では割高な Windows OS ライセンスで、リザーブドインスタンスにすると割安になります。一方、D1v2 は従量では割安で、リザーブドインスタンスにすると従量より割高になります。
リザーブドインスタンスにおける初期費用と月額費用
以上のことからリザーブドインスタンスのハードウェア料金とソフトウェア料金が見えてきました。
まず、リザーブドインスタンスのハードウェア料金は OS に関わらず、Linux のリザーブドインスタンスをみることで初期費用が確認できます。
次に、Windows OS の場合、ソフトウェア料金は従量となるため、1コアあたり月額 3,760.96 円で月払いします。
月々の料金だけに注目すると、リザーブドインスタンスとして消費している Windows の VM のコア数の合計が 10 であれば 37,609.6 円は毎月 Windows OS 料金として必要ということになります。
このソフトウェア料金は従量のため、VM を割当解除することで課金は止まります。
さいごに
すべてのシリーズ・サイズを計算したわけではありませんが、以上のように不思議な料金体系となっており、さらに調べたい方はご自身で料金ページと睨めっこして計算してみてはいかがでしょうか。