Microsoft Copilotは「自動」で十分?各モード・モデルの違いも確認してみた

0. はじめに

Microsoft Copilotでは、「自動」「クイック応答」「Think Deeper」に加えて、GPTやClaudeのモデルを指定して使えるようになりました。
選択肢が増えた分、「結局どれを選べばいいのか」「自動に任せて大丈夫なのか」と迷う人も多いと思います。
 

先に結論を書きます。

  • 普段は「自動」を基本にし、必要なときだけ切り替える使い方をおすすめします。 自動は精度・速度・コストのバランスを取る仕組みです。そのため、必ずしも最も高性能なモデルを選ぶわけではありません。
  • 手動で選ぶのは、優先したいことがはっきりしているときです。 速さを優先したいならクイック応答、深く検討させたいならThink Deeperが候補です。
  • 「定額だから最上位モデルを使い放題」ではなくなりつつあります。 ライセンスに含まれていても上限があるモデルや、従量課金のモデルが出てきています。
  • どれを選んでも、回答はそのまま信じないでください。 今回の検証では、5条件すべてで事実の誤りか出典の不備が見つかりました。
     

この記事の前提

  • 2026年10月19日時点の情報です。
  • 対象は法人向けのCopilotです。個人向けのCopilot(Microsoft 365 Personal / Familyなど)は、モードの種類や説明が違うため対象外です。
  • 名称が変わっています。旧Microsoft 365 CopilotはMicrosoft Copilotに、旧Microsoft 365 Copilot ChatはMicrosoft Copilot Chatになりました。

1. ライセンスで何が変わる?

Copilotを使うために必要な契約

  • Copilot Chat:対象となるMicrosoft 365の契約と職場アカウントがあれば、追加費用なしで使えます。
  • Microsoft Copilot(有償版):上記に加えて、アドオンのCopilotライセンスが必要です。

「追加費用なし」というのは、Microsoft 365の基本契約に含まれているという意味です。
基本契約そのものが無料になるわけではありません。


追加ライセンスの有無で変わること

状態画面上のラベル(参考)使えるデータWord/Excel/PowerPointのCopilotモデルへのアクセス
追加ライセンスなしCopilot Chat (Basic)Web+アップロードしたファイルなし標準
追加ライセンスなし(Officeアプリ対象)M365 Copilot (Basic)Web+アップロードしたファイル標準アクセス標準
追加ライセンスありM365 Copilot (Premium)Web+アクセス権のあるMicrosoft 365内の情報を横断より広範な機能・優先アクセス優先。Claudeも利用可

※画面上のラベルは、自分のライセンスの状態を示す表示です。「Basic」「Premium」という製品を購入するわけではありません。
※実際に使える範囲は、ライセンス、アプリ、管理者の設定によって変わります。
 

ライセンスの差は「使えるモデルが新しいか古いか」ではありません。アクセスの優先度、扱えるデータの範囲、使えるモデルの種類の3つです。

特にAnthropic(Claude)のモデルは、ライセンス付きの環境でしか使えません。
日本の商用テナントでは、Claudeを使えるようにする管理者側の設定はデフォルトでONになっています。
また、Claudeは通常、Microsoftの委託先として、Microsoftのデータ保護の条件の下で動きます。
 

2. 選択肢は「モード」と「モデル」の2種類

Copilotのモデル選択画面には、性質の違う2種類の選択肢が並んでいます。

種類選択肢の例中身
モード自動、クイック応答、Think Deeper速さや推論の深さを選ぶ。使うモデルはCopilot側が決める
指定モデルGPT 6.1 Sol、Claude Opus 5.5 など使うモデルを自分で指定する

各モードの位置づけは次のとおりです。

モード位置づけ
自動モデルそのものではなく、依頼ごとに使うモデルと推論の深さを選ぶ仕組み
クイック応答速さを優先する
Think Deeper時間をかけて深く推論する

一方で、「Think Deeper=GPT-○○」のように、モードとモデル名を結びつけた対応表は、確認した公式資料の中にはありませんでした。
第三者の記事でも、この対応関係は公表されていないと指摘されています。
 

画面には「GPT 5.6 Think Deeper」のように、モデルの系列が表示されます。
ただし、細かいバージョンや推論の設定までは分かりません。
Web・デスクトップ・モバイルのCopilotでClaudeが使われた場合は、画面にその表示が出ると公式に説明されています。

なお、AIに「あなたは何のモデル?」と聞いても、その答えが実際に使われているモデルと一致するとは限りません。
確認するときは、画面の表示とMicrosoftの発表を見てください。
 

3. 「自動」は本当にうまくやってくれる?

Microsoftの説明では、自動はCopilotの既定のモードです。依頼ごとに精度・速度・コストを比べ、その作業に合ったモデルと推論の深さを選びます。

つまり自動は、バランスを取る仕組みです。品質を落とすための仕組みではありませんが、必ずしも最も高性能なモデルを選ぶわけでもありません。
また、振り分けがどれくらい正確なのかを示す公式のデータは見つかりませんでした。
 

「自動はうまくやってくれるか」は、次の3つに分けて考える必要があります。

  1. 依頼に合ったモデルや推論の深さを選べるか
  2. 選ばれたモデルが正しい回答を出せるか
  3. こちらが期待するだけの時間をかけて推論してくれるか

1がうまくいっても、2の正しさまで保証されるわけではありません。
 

ここからは私の考察です。次のような使い分けが現実的だと考えています。

  • 普段:自動に任せる。
  • 速さを優先したいとき:言い換えや形式の変換などはクイック応答を選ぶ。
  • 深く検討させたいとき:比較検討や原因分析などはThink Deeperを選ぶ。
     

「自動があるから手動はいらない」のではなく、手動で選ぶべき場面が限られていると考えるのが正確です。
 

4. 同じ質問を5条件で比べてみた

検証の条件

項目内容
実施日2026年10月19日
ライセンスMicrosoft Copilot(画面上のラベルはPremium)
利用環境アプリ版
チャットそれぞれ新規チャットで実施
比べた条件モード3つ(自動、クイック応答、Think Deeper)と、指定モデル2つ(GPT 6.1 Sol、Claude Opus 5.5)の計5条件

使った質問文

「Microsoft CopilotのAIモデル選択は何が正解?自動で良いの?」というテーマで技術ブログを書きたいです。以下の点を確認し、整理してください。

  • 有償版と無償版など、持っているライセンスで使えるモデルに差はあるか。Copilotを使うにはどのライセンスが必要か、という点から整理してください。
  • 自動は本当にうまく判断してくれるか。うまく判断してくれるなら、クイック応答やThink Deeperは選ぶ必要がないのか。
  • 自動、クイック応答、Think DeeperはそれぞれどのAIモデルを使っているか。
  • これまでのAIモデルは、リリースからCopilotで使えるようになるまでどれくらいかかったか。今後はどうなるか。
  • 応答時間を気にしないなら、常に性能の高いモデルを選べばよいか。Copilotはライセンス課金なので、トークン消費量は考えなくてよいのか。


結果:5条件すべてで、事実の誤りか出典の不備が見つかった

選択したモード/モデル見つかった問題
自動個人向けの仕様(Smartモード、Think Deeperは最大10秒など)を法人向けの説明に混ぜていた。「Copilotでの提供は公開から数週間〜数か月後が多い」と根拠なく言い切っていた。料金体系の変更が反映されておらず、「ライセンス課金なのでトークンは気にしなくていい」と回答していた
クイック応答「新しいモデルが即日Copilotに来るわけではない」「GPT-5世代は数週間」と、事実と逆のことを書いていた。「トークン課金ではないので、コストは考えなくていい」と回答していた。個人向けのThink Deeperの説明を、法人向けの説明に使っていた
Think Deeper回答は最も網羅的で、検証のやり方まで提案していた。ただし、Claude Opus 5.5の提供を「公開の約1週間後」と誤っていた(実際は同日)。「Claudeは常にAnthropic側の利用条件で動く」と誤って説明していた。個人向けのSmartモードの説明を混ぜていた
GPT 6.1 Sol事実関係の大きな誤りは見当たらなかった。ただし、出典のリンク先と本文の内容が合っていない箇所があった
Claude Opus 5.5「追加ライセンスがないと使えるのはWebのデータのみ」と書いていた(実際はアップロードしたファイルも使える)。「自動が見られるのはプロンプトだけ」と根拠なく言い切っていた。Claude Opus 5の「公開当日に提供」を、根拠を示さずに書いていた(結果的には正しかった)。まとめサイト(二次情報)を出典にしていた

結果から言えること・言えないこと

言えること

  • どのモード・モデルを選んでも、公式情報の取り違えや根拠のない言い切りは起こります。
  • 個人向けと法人向けの情報の混同は、5条件中4条件で見られました。
  • 自動とクイック応答は、「提供までの期間」と「トークンは気にしなくていい」で似た誤りをしていました。
  • Think Deeperは回答の量と構成は充実していましたが、誤りがなくなるわけではありませんでした。

言えないこと

  • それぞれ1回ずつ、1つの調べものの質問で比べただけです。
  • そのため、「自動は精度が低い」「Solが最も正確」とまでは結論づけられません。
  • 短い作業(言い換え、要約など)での向き不向きも、今回の検証では確かめていません。

「コラム」AIにAIをレビューさせてみた

最初に試した3条件(自動、GPT 6.1 Sol、Claude Opus 5.5)では、ほかの条件の回答をそれぞれに渡して誤りを指摘させました。これを2往復しています。最後に、各AIの指摘を突き合わせ、主要な点を公式ドキュメントで確認しました。

選択したモード/モデル指摘の内容
自動「Basic/Premiumというラベルは存在しない」「Opusの上限付きには一次情報がない」と指摘した。実際はどちらも公式ドキュメントに記載があり、誤った指摘だった
GPT 6.1 Sol個人向けと法人向けの混同を正確に指摘した。一方で、Solが提案した出典の差し替え先にも、内容と合わないものが含まれていた
Claude Opus 5.5自動の回答にある課金まわりの誤りは正確に指摘した。自分の回答の誤りには、ほかの条件の指摘で初めて気づいた

ほかのAIにチェックさせると、誤りは見つかりやすくなります。
ただし、チェックする側が間違った指摘をすることもあります。
どの指摘が正しいかは、最終的に公式ドキュメントで確認してはじめて判断できました。

5. 新しいモデルは、いつCopilotで使える?

モデル開発元の公開日Copilotでの提供開始差最初に使えた場所
Claude Opus 4.12025年8月5日2025年9月24日約7週間Researcher(Copilot Chatで初めてClaudeを提供)
GPT-52025年8月7日同日同日Copilot Chat、Copilot Studio
Claude Sonnet 4.52025年9月29日同日同日Copilot Studio
GPT-5.22025年12月11日同日同日Copilot Chat、Copilot Studio
GPT-5.5(Thinking)2026年4月23日2026年4月27日4日Copilot
GPT-5.5 Instant2026年5月5日2026年5月7日2日Copilot
Claude Opus 4.82026年5月28日同日同日Copilot
Claude Sonnet 52026年6月30日2026年7月2日2日Copilot
GPT-5.62026年7月9日同日同日Copilot Chat、Word、Excel、PowerPoint、Cowork
Claude Opus 52026年7月24日同日同日Copilot
Claude Fable 5.12026年9月1日同日同日Copilot
GPT-6 Astra2026年9月4日(一般公開)同日同日Copilot Cowork、Copilot Studio
Claude Opus 5.52026年9月22日同日同日Copilot Chat、Word、Excel、PowerPoint、Cowork、Copilot Studio
GPT-6 Sol2026年9月22日同日同日同上

※「Copilotでの提供開始」は、Microsoftが提供開始を発表した日です。
 ※GPT-6 Astraは9月3日に一部の組織向けに先行公開され、翌4日に一般公開されました。

表では一般公開日と比べています。

  • ここ1年ほどは、当日〜数日以内に提供されている
    • OpenAIのモデルは、2025年8月のGPT-5以降、ほとんどが公開と同じ日に提供されています。Microsoftも、OpenAIの最新モデルを30日以内に提供する方針を示しています。
    • Claudeのモデルは、最初のClaude Opus 4.1こそ約7週間かかりました。その後は同日〜2日後に提供されています。
  • 最初に使える場所はモデルによって違う
    • Copilot Studio(エージェントを作る画面)やCoworkから先に提供され、Copilot Chatのモデル選択には出てこないモデルもあります。
    • 「Copilotで提供開始」と発表されていても、自分が使っている画面で選べるとは限りません。
  • 提供開始日と、自分の画面で使える日は違う
    • 新しい機能はテナント内で段階的に展開されます。
    • Claudeは管理者の設定にも左右されます。
    • 発表の当日に自分の画面に出てこないこともあります。

6. 定額だから最上位モデルを使えば良い?

2026年9月、ライセンスに含まれる利用と、高度なAI向けの従量課金を組み合わせる方針が発表されました。
従量課金は、2026年第4四半期から順次展開されています。

通常の利用までトークン単位の課金になったわけではありません。
ただし、ライセンス内の利用上限と、Copilot Creditsの消費を区別して考える必要が出てきました。

区分該当するモデル・機能注意点
ライセンス内(フェアユース付き)GPT 5.6、Sonnet通常の範囲で使う分には追加費用はかからない
ライセンス内(上限あり)Opus上限に達すると使えなくなる
従量課金(Copilot Credits)Astra、Fableなどの新しい最上位モデル、Cowork、Code、Autopilot使った分だけ費用がかかる。管理者が支出ポリシーを作らないと使えない

上限に達したときに、Creditsで続けるか自動に戻して続けるかを選べる仕組みは、まだ「coming soon」の段階です。

また、重いモデルほど処理に時間がかかる場合があります。第4章の検証のとおり、Think Deeperや高性能なモデルを指定しても、回答が正しいとは限りません。
 

7. まとめ:結局どれを選べばいい?

やりたいことおすすめ
普段の質問、メールの作成、要約自動
言い換え、敬語にする、箇条書きにするなど、すぐ返してほしい作業クイック応答
比較検討、原因分析、提案書の構成、設計やコードのレビューThink Deeper
特定のモデル(GPT・Claudeなど)を指定して使う上限や課金の対象かを確認してから使う
複数の資料を横断して、本格的に調べたいResearcher(Copilotライセンスが必要)
正確さが重要な調べものどのモードでも、出典を開いて確認する

※クイック応答とThink Deeperの使い分けは、公式の位置づけをもとにした提案です。短い作業での向き不向きは、今回の検証では確かめていません。
 

モデルを切り替える前に、目的・前提・ほしい出力の形を質問にはっきり書くことも効果的だと考えています(考察)。

モデル選びに時間をかけるより、自動を基本にして、回答の出典を確認することに時間をかけた方が、業務の質は上がるというのが今回の結論です。

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