この記事では、2024年におけるMicrosoft社のFinOps(Financial Operations)への取り組みを紹介します。2023年にはFinOps Foundationへの参加や関連ドキュメントの整備が進みましたが、2024年にはさらに多くの進展が見られました。
2023年の取り組みについては以下の記事をご参照ください。
AzureにおけるFinOpsへの取り組み【2024年1月更新版】
FinOpsにおけるMicrosoftの取り組み
グローバルでのFinOps Foundationとの連携強化
Microsoftは2023年にFinOps Foundationのプレミアメンバーとして参加し、認定サービスプロバイダーとなりました。2024年には、この連携をさらに深め、FinOpsの推進に積極的に関与しています。特に、FinOps Open Cost and Usage Specification(FOCUS)1.0のサポートを強化し、クラウドコストデータの標準化と透明性の向上に寄与しています。
また、2024年6月にサンディエゴで実施されたFinOpsXではMicrosoft社もプレミアパートナーとして登壇し、FOCUS対応やFinOpsの運用をMicrosoft Learnに取り込み、Advisorと連携させる機能等のリリースが発表されました。キーノートの中でのプレゼンだけでなく、AIに関するプレゼンなど、複数の技術要素でのプレゼンが行われ、それらはYoutubeにも公開されています。キーノート内のMSのプレゼンを以下リンクで確認可能です。
Microsoft Cloud Announcements from FinOps X 2024: Improvements to Exports, FOCUS support, Fabric AI
FinOps Japan Chapterへの参画
グローバルの情報は上記に記載した通りですが、日本でも大きな動きがありました。FinOps Foundationを日本でも推進するべく、FinOps FoundationのJapan chapterが設立されました。Microsoftはコミュニティリーダーとして参画しており、こちらのコミュニティ内でも活動が積極化されることが予想されます。
FinOps Foundation Japan Chapter
ドキュメントとツールの充実
2024年には、AzureにおけるFinOps関連のドキュメントやツールがさらに充実しました。新たなライブラリとして、FinOpsのベストプラクティス集が公開され、各サービスの最適化手法やコスト管理のヒントが提供されています。
また、Power BI向けの新しいレポートや、Azure Optimization Engineの機能強化も行われ、ユーザーはより効率的にコスト管理と最適化を実施できるようになりました。
AWS、Google cloudと比較しても、コスト管理における機能の拡充度は十分匹敵しており、ユーザーがその気になれば十分コスト最適化が実現できるものが実装されている印象です。
機能の拡張と最適化
Microsoftは、Azureのコスト管理機能を継続的に強化しています。2024年には、Azure Data Explorerを活用した大規模データセットのサポートや、FinOps hubsにおけるプライベートエンドポイントの導入など、セキュリティとスケーラビリティの向上が図られました。
さらに、Azure OpenAIサービスのコスト管理機能も追加され、AI関連のコスト分析と最適化が容易になっています。また、個人的にはAKSのAzure Advisor連携の機能はコンテナ管理をしている企業にもコスト貢献度が大きかったように感じます。
期待すること
2024年を通じて、MicrosoftはFinOpsの推進において一定の進歩を遂げました。今後もこれらのツールやドキュメントがさらに拡充されていくことが想定されます。上記にも記載した通りツールなどにおいては他クラウドと遜色なく揃っている印象な一方、日本でのFinOps推進においては、AWSやGoogleと比較するとが一歩出遅れている感はあります。日本国内でFinOpsを推進するためにベンダーやコミュニティとの連携強化、セミナーや勉強会の開催などを通じて、機能面だけでなく、組織面や施策面でも文化を推進し、よりクラウドのビジネス価値貢献を進めていくことに期待したいと思います。
当社では、Azure環境におけるFinOpsフレームワークの導入支援を行っております。また、FinOps導入前のクラウドコスト削減・最適化のご相談にも対応可能、多くのお客様にご満足いただいています。ご相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。