Azure carbon optimizationの基本的な見方

■はじめに

この記事では「Azure carbon optimization(以下Carbon optimization)」を使用する際の基本的な見方の解説を行います。

なお記事執筆時点(2024/4/15)でcarbon optimizationはプレビュー中の機能となる為、一般提供の際などに変更点が発生する可能性があります。

■Carbon optimizationで出来ること

主に以下2つのことが可能です。
・Azureの利用で排出されたCO2データの確認
過去12か月間でどの程度の量のCO2が排出されたか、サブスクリプション、リソースグループ、リソース、サービス、リージョンごとの内訳を確認することが出来ます。
・CO2削減のための推奨事項確認
リソースの使用率などから、リソースに対するより最適なSKU、起動・停止等の状態変更、未使用リソースの削減などの推奨されるアクションと、それによって推定されるCO2削減量とコストへの影響を確認できます。

■基本的な見方

・Emission Trends
過去12か月間で排出されたCO2、削減可能なCO2を概要レベルで確認できます。

ますは赤枠の箇所で、確認対象としたい「サブスクリプション」「リソースグループ」「Emission Type(スコープ)」を設定します。
馴染みのない方も多いかと思うので「Emission Type(スコープ)」について簡単に説明します。
Microsoftのドキュメントによると、
スコープ1 – 現場での燃料燃焼 (発電機、車両) からの直接的な温室効果ガス排出
スコープ2 – 電力会社からの排出などの間接的な温室効果ガス排出
スコープ3 – バリューチェーンからのその他の間接的な温室効果ガス排出
とされていますが、単語の定義のみで具体化されておらず少し分かり辛いです。

例えばAzureに落とし込んで考えてみると以下になります。
スコープ1 – データセンターで排出されるCO2、非常用発電機を稼働させた際に排出されるCO2など
スコープ2 – データセンターでサーバーの稼働や空調などに使用している電気を発電する際に電力会社にて排出されたCO2
スコープ3 – データセンターの資材、サーバーに使用している部品の製造過程で排出されたCO2、従業員の通勤や出張によって排出されたCO2
中央の棒グラフを見ても分かる通り、基本的にスコープ3が大半を占めるケースが多いと思います。


中央の棒グラフ横の情報では、上から以下3つの値を示しています。
「Total carbon emissions(総CO2排出量)」
12か月間で排出されたスコープ1~3のCO2量
「Carbon emissions for the last month(先月のCO2排出量)」
「Potential monthly emissions reductions(削減可能な1月あたりのCO2量)」
詳細は後述の「Emission Reductions」にて確認可能


上記情報の箇所にある「View emissions equivalents」をクリックすると、右に実際どの程度の排出量なのか例が表示されます。上から、「何家庭の1年分か」「何回スマートフォンを充電できるか」「何ガロンのガソリン消費分か」について表示されています。
ただこれはアメリカのEPA(環境保護庁)の出している計算式に基づいて算出されており、アメリカの家庭や車のデータを参考にされているので日本の環境そのままに考えていい値ではないと思います。
計算式などはEPAホームページを参照(英語)


画面下部では左から以下3つの値を確認できます。
「Emissions by service for the last month(in kgCO2e)」
先月排出されたCO2をサービスごとに表示した円グラフ
「Emissions by location for the last month(in kgCO2e)」
先月排出されたCO2をリージョンごとに表示した円グラフ
「Carbon intensity(炭素強度)」
Microsoft全体でのCO2排出量を、利用した各リソースやデータ転送に使用した時間で割った値
複雑な計算で求められる値でここでの完全な解説は難しいですが、リソースの使用状況を最適化することや、他のリージョンよりもCO2排出量が低いリージョンでサービスを使用するなどでもこの値は低くすることができます。

・Emission Details
過去12か月間で排出されたCO2を様々なスコープで、詳細レベルで確認できます。
※上記Emission Trendsで触れた箇所の説明は割愛

赤枠の部分で以下5つのスコープで詳細を確認できます。
「Subscription(サブスクリプション)」
「Resource Group(リソースグループ)」
「Resource(リソース)」
「Service(サービス)」
「Location(リージョン)」
上記キャプチャではリソース観点での確認を行っており、2023/12頃までに大部分を占めていた緑色のリソースからのCO2が削減され、新たにデプロイした複数のリソースによってCO2が排出されていることがわかります。
また、スコープを切り替えることで、画面下部にそれぞれ個別のサブスクリプションやリソース、サービスごとの詳細な値も表示されます。

・Emission Reductions
CO2最適化に関する推奨事項を表示します。
表示される内容はAzure Advisorと連携されています。
※推奨されるアクションはAzure Advisorと同一のものが表示されますが、Azure Advisorでは想定される削減CO2は確認できません。

画面中央には左から以下4つの情報が表示されています。
「Total recommendations(推奨事項総数)」
「Potential monthly emissions reductions(削減可能な1月あたりのCO2量)」
「Carbon reductions equivalent(CO2削減相当量)」
10年成長した樹木が吸収するCO2量を基に、削減可能なCO2が何本分の樹木に相当するか算出した値
more equivalentsをクリックすると別の観点の値も確認可能
「Potential monthly cost savings(削減可能な1月あたりのAzure使用料)」

画面下部には推奨事項毎に以下6つの情報が表示されています。
「Subscription(サブスクリプション)」
「Resource Group(リソースグループ)」
「Resource(リソース)」
「Recommendation(推奨アクション)」
「Emission Reductions(CO2削減量)」
「Montly Cost Savings(1月当たりのコスト削減量)」

■おわりに

今回はCarbon optimizationについて解説しました。
記事執筆時点ではサービス画面がはおろかMicrosoftの公式ドキュメントが日本語化されていなかったり、馴染みのない単語や概念などがあるので、これを読んだことで皆様の理解の一助になれば幸いです。

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