はじめに
Azureを運用していくうえで、適切なコストで運用できているかが気になっている方は多いのではないのでしょうか。
また、コスト削減を行いたいが、複数あるコスト削減方法の中で、実際何が最も効果的か、また何から手を付けて良いのかが分からないという方も多いのではないのでしょうか。
そこで本記事では、Azureのコスト削減に有効な施策をランキング形式でご紹介し、合わせてその進め方についてもお話ししたいと思います。
Azureコスト削減に有効な施策ランキング
まずランキング結果はこちらです。
次に各施策についてご紹介していきます。
第1位 定常監視
定常監視は軽視されることがありますが、非常に重要です。
というのも、一時的に使用する高性能な検証リソースの停止忘れやRIの更新忘れ、削除漏れのリソース等によって無駄なコストが発生するケースは非常に多くあります。これらに気づくのが遅れると、リソースによっては月額数十万円単位で無駄なコストが発生するため、最低でも月に1度はコストを確認することが推奨されます。
また、サービスの異常を検知できることも定常監視を行う利点の1つです。
例えば、サービスにおいて発生するはずのコストが発生していない場合、サービスが正常に動作していない可能性があります。
このように、必要最低限のサービスが正常に動作し、無駄なコストが発生していない状態を保ち続けることが重要であり、その実現には定常監視が重要になるのです。
第2位 RIの購入
RIとは?メリットとは?
RIとは、リソースの料金を事前に1年もしくは3年分予約することで、割引価格でサービスを利用できる購入オプションです。
従量課金制の料金に比べ、最大でコストを72%削減することができ、大幅にコストを削減したい場合に非常に有効な方法になります。
RIはVMを対象に購入するケースが多いですが、Paasのサービスでも購入可能なものがあります。
また、従来のVMのRIはハードウェア部分のみ対象とし適用されるものでしたが、2022年にソフトウェア部分を対象に適用するRIも発表され、両者を組み合わせることでVMのコストをより効果的に削減することができます。
RI購入時の注意点
RIの購入は大幅にコスト削減が見込める施策ですが、購入前に注意すべきポイントが3つあります。
- 24時間365日稼働するVMであれば間違いなくRIの購入によりコスト削減が見込めますが、稼働が低いVMはむしろRIの購入によりコストが高くなる可能性があるため、注意が必要です。
- RIは交換・キャンセルについて一部制限があるため、購入時に適切な購入対象を見極める必要があります。
- VMのソフトウェア部分に適用できるRIには「ソフトウェア プラン割引」と「仮想マシンソフトウェアの予約の前払い(Azure Marketplace)」という大きく2つの種類があり、購入方法もそれぞれ異なります。その2つから購入する種類を選択後、さらに様々なパブリッシャーが提供するソフトウェアの予約プランから適切なものを見極め、購入する必要があります。また、「ソフトウェア プラン割引」についてはキャンセルが出来ず、「仮想マシンソフトウェアの予約の前払い(Azure Marketplace)」についてもキャンセルが購入後72時間以内にしかできないという制限があるため、購入する種類を誤ってしまうと、その後予約した年数分無駄なコストを支払うことになるため、注意が必要です。
このように、RIはコストを大幅に削減できる一方、購入前にしっかり検討しなければ損をしてしまうため、購入対象を適切に見極めて購入しましょう。
第3位 VM、PaaSサイズの適正化
よくあるのが、リソース作成時にサイズをなんとなくて選択し、それを使用し続けていたが、実際の使用率を確認すると過剰なスペックで運用していた、というケースです。そのような場合は、適切なサイズへ変更することで、コストの削減が可能です。
サイズ適正化の方法
VMであれば、VMの一定期間のCPU使用率・メモリ使用率の最大値から適切なサイズを策定し、サイズ変更を実施します。
例えば、CPU使用率の最大値が50%以下であれば、コア数が半分になるサイズへの変更を検討します。
ただし、サイズ変更により、データディスク数、IOPSの上限値、Premiumディスクのサポート有無が変わることがあるため、変更先サイズのこれらの値が、現在の運用条件を満たせているかを確認した上で、サイズ変更を実施する必要があります。
なお、Azure Advisorでも、CPU使用率が低いVMがある場合、サイズ変更の推奨事項が表示されますが、過去7日間の使用状況分析による推奨であるため、注意が必要です。
また、基本的には一定期間の使用率の確認からVMサイズを策定しますが、今後運用する上での適正サイズは分からないため、現場のヒアリングも重要になってきます。
第4位 不要リソース(VM、ディスク等)の削除
定常監視や定期的な棚卸を行っていないと、不要なリソースが残存しているケースがあり、それらを削除することで、コストの削減が可能です。
特に、VMとディスクが不要なリソースとして残存しているケースを多く拝見します。
VMは、検証用として作成し、検証後に停止・削除を忘れてしまい残っているケースが多く、ディスクは、VMのOSディスクやデータディスクとして使用していたものを、使用元のVMを削除する際に削除し忘れて残っているケースが多いようです。
また、Premiumディスクは、1つあたり月数万円のコストが発生していることもあるため、不要なリソースは積極的に削除することが望ましいです。
第5位 稼働時間短縮
夜間や土日祝日にサービスを利用していないにも関わらずサービスを起動しているような場合は、Automationサービスを用いて稼働時間を短縮することでコストの削減が可能です。特にVMについては、平日の日中帯(9時間程度)のみ稼働させるような場合、RIを購入するよりも、Automationで稼働時間の短縮を行う方がコストの削減が見込めます。
コスト削減施策の正しい進め方
ここまでコスト削減施策を紹介してまいりましたが、ではコスト削減を実践する、となるとここからがまた大変です。
単純に効果が大きいRIから適用しよう、となっても、購入するRIのサイズが適切かわからないケースがあったり、コストの定常監視を行ってもそもそも今の月額コストが妥当なのかが判断できないケースもあります。
Azureはお客様によって環境が千差万別であり、コストが高いリソースも、有効な削減施策やその順番も様々です。そのため、上記で紹介したコスト削減施策をランキングの順番で実施していったとしても必ずしも効率的な削減にはつながりません。コスト最適化の効果を最大化するにはまずお客様環境のコスト分析を行い、上記で紹介した施策を組み合わせ、長期的に計画を立てて進めていくことが重要です。
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コスト削減の正しい進め方をご紹介しましたが、環境が膨大・複雑であったり、コスト削減検討の工数が足りない等のお声もあるとかと思います。
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おわりに
Azureの利用も大分普及が進み、これからはただ最新機能を利用していくだけでなく、適切に維持・管理していくフェーズと考えています。
オンプレミスとは違う「従量課金」の特性をうまく使い、最適なコスト維持を図り、更にAzureを活用し経営を向上させて行けることを祈っています。
また、弊社ではコストに関する有益な情報満載の無料Webセミナーも開催しております。Azure金額の増加にお悩みのお客様はセミナーのご参加やお問い合わせなど是非弊社までご相談ください。
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